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» 2011年05月02日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:堀江貴文氏、山田昌弘氏にみる極論の使い方 (1/2)

一見、穴だらけでありながらも、本質をついていることもある“極論”。進むべき道をはっきり示すために、リーダーは「極論という方法論」を身に付けるべき、とちきりんさんは主張します。

[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2009年4月4日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 「パラサイトシングル」や「希望格差社会」などの言葉で有名な山田昌弘氏が、数年前の新聞のコラムで「今の“就活”問題を解決するには、大企業や役所が30歳以下の若者を雇うことを禁止すればよい」と書かれていました。

 「すべての若者をまず中小企業で働かせ、その上で大企業や役所に入りたいなら30歳で転職すればいい」という意見です。

 就活をする学生は、社会についても働くということについても、また「自分のこと」もよく分かっていません。価値観が未分化なそんなタイミングで「一生を決めるレース」に参加すれば、大半は無難に大企業を目指すでしょう。

 そして同じゴールを目指して全学生がレースをすれば、優秀な人ほど、安定的で保守的な大組織に吸収されていきます。自由に発想することの意義も、リスクをとって行動することの小気味よさも、知らないままに。

 一方、いったん全員が中小企業やベンチャーに勤め、社会の基本的な仕組みや自分の職業適性を知った上で30歳で就職活動をすれば、今のように大半の学生が大企業や大組織を目指すとは思えません。

 8年働けば、その間に銀行員とも役所の人とも大企業の人とも仕事上の付き合いが発生します。そしてそれが自分のやりたい仕事か、好ましいと思う働き方か、リアリティをもって理解することができるでしょう。

 また、30歳になれば結婚したり親になる人もでてきます。家庭のあり方も含め、自分がどんな人生を送りたいか、分かってくるでしょう。そうなれば仕事選びの基準は23歳の時より圧倒的に多様化するはずで、誰も彼もが同じ山の頂上を目指すことはなくなるでしょう。

 そう考えれば、確かにこれはなかなか良い案に思えます。しかし新卒一括採用の不合理やデメリットの解消方法として「大企業や役所が30歳未満の人を雇うことを、法律で禁止すべき」という意見はあきらかに“極論”です。

 それが実現できない理由はすぐさまいくつも挙げられるし、そのデメリットも簡単に列挙できます。素直で真面目な多くの人には、この意見は暴論にも聞こえるでしょうし、実現不可能な「机上の空論」と誹られるはずです。

 それでもちきりんは、こういった「暴論・極論という方法論」が好きです。なぜなら暴論や極論には、「何が問題なのか」という核心を明確に浮かび上がらせる効果があるからです。上例でも、一見無茶にも聞こえる意見を通して、山田氏が「何が問題だと感じているか」が非常にビビッドに分かります。

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