チェルノブイリ原発事故から25年――反原発デモを取材する松田雅央の時事日想(2/4 ページ)

» 2011年04月29日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

8000人のデモ行進

家族で参加。「子供たちの将来のために参加しています」パレデスさん一家

 当日は天候に恵まれ、主催者発表によれば約8000人の市民が最寄のキルヒハイム駅前に集まった。ここからネッカーウェストハイム原発まで、ブドウ畑と菜の花畑を両脇に見ながら2キロほどの道のりだ。

 ドイツでも暴力を伴うデモがあることは否定できないが、近年の反原発デモは平和的に行われている。雰囲気は「お祭り」と書くのがピッタリだろう。ベビーカーを押す家族連れから高齢者のグループまで、性別・年齢を問わない幅広い市民層の参加が特徴と言える。警察はパトカーで先導することと、所々の交差点での交通整理だけが仕事。原発敷地内にも特別警戒の様子はない。

 主催団体のひとつ、環境保護団体BUNDバーデン・ビュルテンベルク州のフリース事務局長によれば、平和行動と偏狭な思想にとらわれない反原発運動がモットーだ。

 「チェルノブイリ記念日にあわせたデモとイベントは国内12カ所で行われていますが、最初に始まったのがこのネッカーウェストハイム原発デモです。初期のデモは警察の放水車が出動する激しいものでしたが、近年は過激なグループを排除し、多様な考えの市民が参加できるよう心がけています」

 例えば原発推進の立場をとる与党CDU(キリスト教民主同盟)支持者であっても、「他の政策は支持するが原発には反対」ならば気軽に参加できる。

デモ行進の先頭。横断幕には「1986チェルノブイリ、2011フクシマ/原発を止めろ!」と書かれている(左)、壮観8000人。この日、全国で開催されたデモやイベントの参加者は計12万人(右)

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