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» 2011年04月27日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:サントリー「ハイボールサーバー」の深謀遠慮 (1/2)

サントリーが復活させて市場に定着させた「ハイボール」。次なる戦略はどこに向かうのか? それを読み解くカギはハイボールサーバーにあった。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年4月22日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 サントリーが復活させて市場に定着させた「ハイボール」。次なる戦略はどこに向かうのだろうか?

 まずは、ハイボールが今日のように人気となった原点を振り返ってみよう。2009年8月21日付日経MJに「サントリーのハイボール復活戦略」と題された記事が掲載された。サントリー酒類の社内で「プロジェクトH」と名付けられた取り組みに関して紹介している。

 プロジェクトの目的は、ハイボールという飲み方が「1950年ごろに誕生、一世を風靡(ふうび)した時期もあったが、ウイスキー市場の縮小とともに姿を消しつつあった。それを復活させることでウイスキー需要を喚起する」(記事より)ということにあった。また、「ウイスキーそのものの古いイメージを払拭(ふっしょく)、同時に若者が“飲む”環境を整え、新たなブーム」(同)を作り出すことにあったという。

 プロジェクトはさまざまな取り組みによって早期に結実した。2009年のヒット商品番付にもランクインし、今日ではすっかりサントリーの狙い通り市場に定着。多くの料飲店でメニューに並び、缶入りの商品もコンビニを始めとした流通チャネルで確実に棚を押さえている。重点ターゲットである若者の取り込みも進み、ウイスキーに寄りつきもしていなかった状態から、「最初の1杯」にしている人も多いという人気っぷりとなった。

 サントリーが仕掛けた「プロジェクトH」で用いられたのは「角瓶」ブランドを用いたハイボールであるが、その後、消費市場全般の低価格志向にも対応し、より手軽な価格で楽しめる「トリス」のハイボールも展開、さらにハイボールのすそ野を広げることに貢献した。

 しかし、前掲の日経MJの記事にあるように、サントリーの真の狙いは「ハイボールの普及」ではなく、「ウイスキー需要の喚起」である。もちろん、炭酸ソーダで薄めてハイボールにするより、そのままで飲んでもらった方がありがたい。そのため、その次の一手として「WHISKEY on MUSIC」というコンセプトで、さまざまなアーティストとコラボレーションした広告展開を行い、さりげなくアーティストがカッコよくストレートやロックで飲む姿を訴求した。だが、世は低アルコール全盛である。そのハードルは少々高いといえる。ゆえに、さらに次の一手を打ったのである。

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