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» 2011年04月26日 08時00分 UPDATE

コンビニ、ヒット商品の理由:“魚くさい”イメージを消した、カップゼリー「今日のくだもの」 (1/2)

たらみが覇権を握るゼリー市場に挑んでいるのが、「今日のくだもの」を擁するマルハニチロだ。マルハニチロはどんな差別化要因を提示して、たらみに対抗しているのだろうか。

[笠井清志,Business Media 誠]

「コンビニ、ヒット商品の理由」とは?:

限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。


 コンビニのデザート売り場で、ロールケーキなどとともに目を楽しませてくれるのがカップゼリーだろう。さまざまな果物がゼリーで透明な容器に詰められている光景からは、清涼感も漂ってくる。そんなカップゼリー市場で、近年シェアを拡大しているのが、マルハニチロの「今日のくだもの」シリーズだ。

ah_zeri1.jpg 今日のくだもの 完熟白桃(出典:マルハニチロ)

「魚くさい」イメージを消すために

 マルハニチロが「今日のくだもの」の原型となるカップゼリーを発売したのは1995年のこと。当時、フルーツ商品は缶詰が主流だったが、食品の安全性が問題となってきて、消費者から「中身が見える缶詰は作れないか?」という要望があったことから、中身の見えるカップゼリーが生まれたのだという。

 しかし、発売当初はほとんど売れなかった。マルハニチロには魚肉ソーセージのような加工食品の印象を持っている消費者が多いので、「魚屋が作るゼリー→魚くさい」と見られていたことがマイナスに働いたのだろう。ヒット商品「リサーラ」のような魚肉ソーセージだと、魚の「健康に良い」というイメージがプラスに働くのだが、ゼリーとなると「魚くさい」というマイナスイメージとなってしまうのである。

ah_zeri2.jpg リサーラ(出典:マルハニチロ)

 2005年、同社ではマルハニチロの会社ロゴを外して※、「今日のくだもの」というブランドでカップゼリーを売り出していく。ブランドとして売り出した背景には、「魚くさい」というイメージを消すというほかにも、「デザートカテゴリーの中で事業として独立させたい」という思いもあったという。

※現在、会社ロゴは復活している。

 ゼリー市場全体を見ると、最大の企業は「たらみ」である。たらみでは中国の原料を使用し、加工も中国で行っていたため、マルハニチロではそれに対抗しようと、国産にこだわった商品開発を行った。また、「旬生」という加熱プロセスが他社よりも少なくて済む独自の製法を開発し、鮮度を生かせる商品を考案した。

 だが、品質を重視した商品を開発したといっても、それがコンビニの棚にすぐに並べられるわけではない。そこで、商品を導入してもらうために、最初は何度も営業マンが店舗に足を運んだという。そして、毎月3〜5個の新商品を提案していく戦略をとり、商談接点を増やす工夫もした。

 今日のくだものは、「白桃」「ぶどう」「マンゴー」「甘夏」「びわ」……など数多くのラインアップをそろえている。中でも、多くの支持を集めているのが「みかん」である。その背景には、主力ターゲットの6割が男性というデータをもとに、「大満足みかん」という300グラムの商品を提案したことがある(通常商品は175グラム)。

ah_zeri3.jpg 今日のくだもの 大満足みかん(出典:マルハニチロ)
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