ポイントは「分かりやすさ」――3プライスの墓石店

» 2011年04月25日 11時00分 公開
[Business Media 誠]

 寂しいことだが、人間、年を取るにつれて冠婚葬祭の「葬」が増えてくる。30代〜40代ともなると、“家族の墓を建てる”という立場になる人も少なくない。

 実際に経験すると分かるが、この世界は素人にとって何かと分かりにくい。まずどこで墓石を買ったらいいのか分からないので、日ごろつきあいのある寺や、葬儀をお願いした葬儀社に石材店を紹介してもらうことになる。日用品を買うのと違い、複数の店を見比べて決定したり、見積もりを取ったりする人は少数派だろう。「○○万円かかります」と言われれば、言い値で支払うことになる。故人を供養するのに、値切るようなこともしにくいからだ。

3プライス制で墓石を販売

 「墓を建てるのにいくらくらいかかるのか、相場が分からない」――そんな声に応え、、価格を明記し、ネットで墓石を販売するWebサイトが増えつつある。その中でも、3プライスで墓石を販売し、申込から引き渡しまですべてネットで完結するのがお墓まごころ価格.com(参照リンク)だ。

 同社では、50万円、70万円、100万円の3種類に絞って墓石を販売しており、お客が実際の店舗に行ったり、営業マンが訪問してきたりすることはなく、カタログ請求から引き渡しまですべてオンラインで完結する。「50万、70万、100万円はすべて税込み、文字を彫って工事を行い、お引き渡しするまでの価格です。すべてのお墓に耐震施工を行っており、10年保証も付いています」(お墓まごころ価格.com)

お墓まごころ価格.comのWebサイト。50万、70万、100万円の3プライスだ

 注文から工事・引き渡しまでの流れは以下の通りだ。まずWebからカタログ請求を行う。カタログ(約130ページ)が到着したら、石の種類やデザインを選ぶ。カタログに掲載されている石は20種類、デザインは32種類あり、石の種類とデザインの組み合わせで値段が決まる。50万円だとシンプルで必要十分なタイプ、70万円だと通常もっとも流通している一般的な墓石、100万円だとかなり高級な石と凝ったデザインのものを選べるという。実際にどんな石か見たい場合は、送付されてくる石のサンプルを見た上で決定できる。文字を彫り、耐震工事を施して引き渡されるのは約2カ月後。工事の過程は写真で記録し、後日報告書としてまとめて送付される。

 お墓まごころ価格.comは日本初の墓石ネット専門店である。2010年1月にプレオープンして以来、墓石の販売実績は160件あまり、資料請求は約5000件。店舗に行く必要がないので、日本全国どこの墓地でも注文できるのもメリットといえる。


 ちなみに日本石材産業協会によれば、墓石の購入費用の全国平均額は165.2万円(2010年度、墓地取得費用を除いた金額)。50万〜100万円の価格レンジはずいぶん割安だ。

 160万円程度で流通している墓石は、墓石まごころ価格.comで70万円で販売しているクラスに相当するという。「商社や問屋を通さず、直接工場で原石を仕入れて加工しています。テレビCMもチラシも作っていないので、大きな宣伝費はかかっていません。営業や訪問販売をしていないので営業マンの人件費も不要ですし、店舗がないので展示品を在庫に抱えることもありません。お寺や葬儀社への接待やバックマージンもないのです」(同上)

 相場より大幅に安価な価格、3プライス設定……ここから思い出すのはメガネの小売り店だ。ここ数年ですっかり定着した3プライスメガネのように、墓石も3プライスが一般的になるのだろうか。

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