コラム
» 2011年04月22日 08時00分 UPDATE

エコのふれ込みに「だまされた」と感じた時、消費者の7割が離れていく (1/2)

企業の「地球に優しい」というふれ込みにだまされたと感じた時に、7割の消費者がその商品を買うのを止め、約4割の消費者がその企業のすべての商品をボイコットするという調査結果が最近示された。企業は環境負荷低減の試みについて、どのようにアピールするべきなのだろうか。

[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 企業の「地球に優しい」というふれ込みにだまされたと感じた時に、7割の消費者がその商品を買うのをやめ、約4割の消費者がその企業のすべての商品をボイコットするという調査結果が最近示された。

 この調査は「The 2011 Cone Green Gap Trend Tracker」。3月に広告代理店のConeがオンラインで実施、18歳以上の男性515人、女性525人の計1040人から回答を得ている。米国での調査結果なので日本の消費者の反応と異なる部分があるかもしれないが、上記のほかにも、同調査の結果からは、商品の環境負荷低減についてのコミュニケーションのあり方について参考になるさまざまなデータが示されている。

 回答者の8割が「製造・販売者は商品の環境負荷について、それらを踏まえて購買の意思決定ができるようそれらの情報をもっと多くパッケージに記載してほしい」と回答しており、消費者が購入しようとしている商品の環境負荷の情報を欲していることが明らかにうかがえる。しかし、「商品の環境に与える負荷がゼロというわけではない」「実際は商品の環境負荷について全体像は良く分かっていない」という企業も少なくないだろう。

 それでも、企業は恐れることはない。75%の回答者は「企業は環境負荷低減において完璧である必要はない。それよりも自社の取り組みについて正直かつ透明性を保っていてもらいたい」と回答しているのだ。

 そう、環境負荷低減が完璧にできている必要はない。その商品における環境負荷低減の取り組みについて、企業は誇張せずにできていることを正直かつ透明性をもって、消費者に伝えればいいだけだ。つまり、やろうと思ってもできないことがある物理的、技術的な問題ではなく、やろうとすれば誰にでもできる企業姿勢の問題なのである。

 とはいえ、消費者が企業の環境負荷低減について寛容というわけではない。59%の回答者が「企業やそのマーケッターが『地球に優しい』『エコ』『グリーン』といったあいまいな表現を使うのが許されるのは、それを裏付ける詳細な情報や説明がある時だけだ」と回答しており、別の23%は「そういったあいまいな表現は決して使うべきでない!」と答えている。

 つまり、根拠のない「地球に優しい」「エコ」「グリーン」といったあいまいな表現は、2割強の消費者からは嫌われ、6割の消費者にはアピールしない(そういった表現を「許せる」のは回答者の11%、残り8%は「分からない」と回答)ということだ。

 また、半数の回答者が「環境関連のメッセージに圧倒されている」と答えており、消費者がプッシュでの情報提供にうんざりし始めていることがうかがえる。こうした時に、無意味に「エコ」「エコ」と連発するような無益な情報発信は、たとえ嘘がなくとも中身がなければノイズとなり、「うるさい」とマイナスのイメージでとらえられる。

 環境関連ではないが、最近では東日本大震災後、企業がCMを自粛した際に、民放テレビ各局がそれぞれの判断で社団法人ACジャパンの公共広告で穴埋めを行ったが、あまりにも大量であったこと、CMのトーンが暗かったり、震災と関連のない内容のものであったりしたことに対して苦情が殺到し、同法人制作のCMの最後に共通して流れる「エーシー」というサウンドロゴを急きょ削除したものを作り直さなければならなかった例がある。

 いくら企業の環境負荷低減において消費者が寛容であるからといっても、消費者は膨大な環境関連情報の一方的な提供にいら立ちを見せ始めており、中途半端あるいは抽象的なものでは費用を掛けてコミュニケーション、マーケティングを行っても、トータルで見ればネガティブな印象を与えるだけになる。これでは、商品・企業の環境負荷低減に対する効果・成果が乏しいのであれば下手にこの領域でアピールするよりも黙っていた方が良い。

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