──ただ、テストの様子は私もニュース映像で見ていましたが、地上の管制室の人たちはみんな心配そうでした。日の出の時間が近づくと、誰からともなくカウントダウンのコールが始まって。あのカウントダウンはたしか、ベルトラン(ピカール氏)が始めたのかな?
ピカール そうです、私が始めました。つい興奮して(笑)。ここまでくるのに7年かかっていますが、もしここで失敗したら、信頼も一気に失ってしまう。その意味で今回のフライトは、1つの大きな到達点でした。
──無事に戻って着陸したときに、機体の周りにスタッフみんなが集まりました。その中心にいたのが、コクピットからおりてきたアンドレ(ボルシュベルグ氏)でしたね。じつは私は、プロジェクトのリーダーである2人のうちのどちらが操縦するのかとずっと思っていたのですが、結果的にアンドレが乗るというのはどうやって決めたんですか?
ピカール 決めるのは簡単でしたよ。今回のフライトは非常に困難をともなう、大きなチャレンジでした。それには、私よりもはるかに経験のあるアンドレが適任であることは明白でした。
──では、最終目標である世界一周フライトは、どちらが?
ボルシュベルグ 世界一周では、2人が交替で乗り込むことになります。ただしゴール地点ではどちらが操縦していて、どちらが迎えるかは、唯一の喧嘩の原因になるかも知れません(笑)。
──さて、その2号機の話ですが。世界一周を飛ぶとなると、さっきの話のように「防寒のためにエネルギーは使えない」などとは言っていられませんね。長時間フライトに持ちこたえられるようパイロットの身体も守らないといけませんし。試作1号機とは、やはりずいぶん違ったものになるのでしょうか。
ボルシュベルグ 世界一周に際しては、1回のフライトで最低でも5日間飛ぶことを考えています。ですので、シートにはパイロットが仮眠をとるためのリクライニング機能も必要でしょうし、ゴミも出るので、その処理設備なども考えなければなりません。
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