記者は御用心、“ネタ”を食わせようとしている奴らに烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(7)(1/3 ページ)

» 2011年04月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 記者をしていると、取材相手から「飲みに行きませんか?」と誘われることがある。そして酒の席で情報提供してくれることがあるが、そのネタは食うべきなのか、それとも食わぬべきなのか。記者と取材相手の関係について、ジャーナリストの烏賀陽弘道さんと窪田順生さんが語り合った。

100分の95の記者が大変

窪田順生さん

窪田:全国紙は政治部、経済部、社会部といった縦割り組織の中で、うまく記者の力を生かしきれていないのではないでしょうか。もっと柔軟で自由度が増す組織にするだけでも、かなりよくなると思う。

 あと国会担当の記者であれば、国会を担当して20年、事件担当の記者であれば、事件を担当して30年といった記者を集めて、プロフェッショナルな集団を作ればいい。何事も平均的にできる記者をつくろうとするからおかしな話になる。そのなかで優秀なジャーナリストになったらなったで、今度は「管理職」にする。これはもったいないでしょ。

烏賀陽:全国紙の記者は“腐っても鯛”なんですよ。僕は朝日新聞で働いていましたが、100人のうち5人くらいは“ものすごい記者”だった。なぜ金丸信が逮捕される前日の晩に、水割り4杯飲んでいたことを知っているんだ? とか。そうした記者は生き残っていくと思う。

 しかし残りの100分の95の記者が大変なんですよ。その95の記者は記者クラブなど、会社が用意したワークフローに素直に順応している。自分の職能がそれで低下しているのに気付かない。なぜかというと記者クラブの基本というのは、官庁がネタを与える、または官庁と相談して決めるというシステムだからです。5年もいると、自分でネタを探す能力が落ちてしまう。

 朝、記者クラブに行くと、発表ペーパーが山のように積まれている。自分でネタを探さなくていいので、ものすごく楽なんですよ。

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