誰が都知事選の投票率を上げたのか?誠 Weekly Access Top10(2011年4月2日〜4月8日)

» 2011年04月15日 12時50分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 4月10日に行われた東京都知事選挙。現職の石原慎太郎氏が4選を果たす結果となったが、筆者が何より気になったのが投票率。同日に行われた12都道県の知事選挙の投票率が平均52.77%と前回より1.61ポイント下がる中、都知事選挙は57.8%と前回より3.45ポイントも上がったのである。

 近年、各選挙で下がる一方の投票率。今回は東日本大震災発生にともなうキャンペーン自粛もあったため、選挙前に投票率の低下を危惧する識者も少なくなかったと記憶するのだが、筆者にとっても意外な結果であった。

 なぜ都知事選の投票率は上がったのか? 東京都選挙管理委員会に尋ねると、「1つの理由として、期日前投票が大きく増えたことが挙げられる」という。

 今回の都知事選の期日前投票は86万7777票で、前回より51.78%増加。これだけで全投票の14.29%を占めることになる。前回、期日前投票の全投票に占める割合は10.27%だったので、確かにこれで説明できそうな気もする。

 しかし、神奈川県知事選挙では期日前投票(4月8日まで)が前回より28%増加しているが、投票率は1.8ポイント減っている。そして、これはほかの知事選でも同様に見られる傾向である。そもそも期日前投票をした人がそれまで当日に投票していなかったとは考えがたいので、これを主因とするのはやや言い過ぎだろう。

 また、東京都選挙管理委員会によると、「まだデータが出てきていないので確定的なことは言えないが、2年ほど前から20代の投票率が上がる傾向にある」という。今回の都知事選では表現規制という若者にも身近な争点も挙がっていたので、それは十分に関係がある可能性がある。

 それならば、「投票率が顕著に上がっている地域では、20代が多く住んでいるのではないか」と推測して、投票率の上昇幅が大きい10地域を次の表のように抽出してみた。

投票率の上昇幅が大きい10地域(投票者数が1万人を超えた地域、出典:東京都選挙管理委員会

開票区 投票率(%) 前回投票率(%) 前回との差
台東区 57.89 51.93 5.96
渋谷区 56.57 51.55 5.02
目黒区 58.7 53.82 4.88
荒川区 57.79 53.16 4.63
中野区 56.51 51.99 4.52
世田谷区 58.76 54.31 4.45
調布市 58.92 54.54 4.38
青梅市 58.32 54.02 4.3
中央区 61.61 57.33 4.28
杉並区 58.12 54.28 3.84

 しかし、住民基本台帳(2011年1月)と照らし合わせると、必ずしも上位に若者が多い地域が入っているわけではないことが分かる。確かに2位の渋谷区は有権者に占める20代の割合が15.73%と東京都平均の15.15%より若干高いのだが、1位の台東区は12.94%、4位の荒川区は13.90%とそれほど高くないのである。

 ちなみに、浅草が含まれる台東区はビートたけし氏の活躍していた場所であるため、たけし軍団の一員である東国原英夫氏を応援するための票が入ったために投票率が上がったのではないかと筆者は想像していた。しかし、台東区の得票率を見ると、石原慎太郎氏は45.94%(東京都平均43.06%)、東国原英夫氏は26.00%(東京都平均27.84%)とむしろ東国原氏に逆風が吹いていたのが意外だった。

 「Twitterなどのソーシャルメディアの流行が影響したのでは……」といったことも考えたのだが、それなら神奈川県知事選挙の投票率も上がって良さそうなので、都知事選挙の投票率が顕著に上昇した理由を見つけるのはなかなか難しい。

 東京都選挙管理委員会の人は「AKB48を都知事選のイメージキャラクターに起用したことも理由かも」とボソっとつぶやいていたのだが、そこまで影響力があったとはちょっと考えがたい(ただ、AKB48の動画が見られる都知事選特設サイトの3月13日〜29日のアクセス数は約20万3000件に達したとか)。単純に投票したい候補者がいたからと言ってしまえばそれまでなのだが、はっきりとした理由を見つけられた方は、ぜひ教えていただきたいと思う。

 まあ何はともあれ、投票率が上がるということは、より国民全体の意思が政治に反映されるようになるということ。4月24日には統一地方選挙の後半戦が行われるが、そこでも都知事選のように投票率が上がってくれればと思う。

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