記者クラブを閉ざしてきた、大手メディアの罪と罰烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(6)(3/4 ページ)

» 2011年04月15日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

記者クラブを開放すべきだった

烏賀陽:既存の記者クラブは、自分たちの主体的な判断で開放すべきだったと思う。記者クラブというのは理想的な環境なんですよ。部屋をタダで借りて、省庁の人からお茶のサービスまであったりする。その記者クラブをフリーの人たちにも開放すれば、フリーの人たちだけでなく、読者も「よくやってくれた」と思うはず。そして「新聞を読もう」という人が増えたのではないでしょうか。しかし、どうでもいいような、しょうもないことに拘泥しつづけて、読者を敵に回してしまった。

 そもそも省庁や役所は、国民が税金を支払って維持しているのです。その省庁や役所が持っている情報というのは、国民のものなんですよ。その情報を、なぜ私企業のカルテルにすぎない記者クラブが途中でブロックしているのか。この問題は公正取引委員会に訴えてみたらいい。

窪田:そう思いますね。情報の談合ですから。

烏賀陽:「記者クラブの正当性って何なんだ?」という問いかけを裁判や公正取引委員会で提起してみればいい。フリージャーナリストの寺澤有さんと『週刊現代』副編集長の船川輝樹さんは「記者クラブで不当な扱いを受けた」といって裁判を起こした。仮処分申請を東京地方裁判所と東京高等裁判所に申し立てたが、いずれも棄却された。しかしその当時と今では明らかに状況が違う。今、訴えると、ひょっとしたら違う判決が出るかもしれない。

窪田:新聞社は「どうぞフリーの方々も、記者クラブにおいでください」と言えば、読者からの支持も得たはず。のちのち振り返ってみて「最後のチャンスだったのになあ」となるかもしれない。

 例えば、朝日新聞だけでも開放すればよかったんですよ。記者クラブにある余っているイスを「フリーの席」とすればいい。そうすれば、「さすが朝日新聞はリベラルだ。弱者に優しい。ウチは読売新聞を購読してるけど、来月から朝日新聞にしよう」と読者も増えたかもしれない(笑)

烏賀陽:ハハハ。それはいい。思いつかなかった。

窪田:「志の高いフリーのジャーナリストの方々。記者クラブにある自分たちのイスをお貸しします」――。なぜこれだけのことが言えないのか分かりませんね。国民の知る権利に貢献できるのにしない。だから「利権ビジネス」のようにとられてしまう。

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