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» 2011年04月14日 08時00分 UPDATE

「ガンバレ」と言われても……日本中を襲う震災ストレス (1/2)

東日本大震災発生後、実際に被災したわけでもないのにストレスを感じている人は少なくない。「気持ちが沈む」「よく疲れる」といった症状を訴える人が増えてきているようだ。

[産経新聞]

 実際に被災したわけではないのに、気持ちが沈む。埼玉県の主婦、中村滋子さん(32)は東日本大震災以降、やり場のない抑鬱感を抱えて暮らしていた。

yd_japan.jpg 特急ロマンスカーに装飾される「がんばろう日本」のステッカー(小田急電鉄提供)

 「震災後、牛乳や紙おむつがなくなり始めて焦り、計画停電のためどうやって生活をやりくりしようかと悩み、原発事故で当たり前に思っていた空気や水への安心感が揺らいだ」

 4歳と2歳、4カ月の3人の男児を育て、買いだめする人であふれるスーパーの行列にも並べなかった。夫(29)は食品工場に勤めており、計画停電のある日は生産ラインが止まるため休業になった。

 中村さんは「家族の生活リズムも変わってしまったが、子供たちには不安な思いをさせたくないので平静を装った。それがまたストレスになった」と話す。

 「ロビンソン」など数々のヒット曲で知られるバンド「スピッツ」は、ボーカルの草野マサムネさん(43)が3月17日に「急性ストレス障害」と診断され、4公演を見送った。

 所属事務所は「体験したことのない大きな揺れや続く余震、想像を絶する被害、悲惨すぎる現実が連日報道され、また原発事故の深刻な状況などを感じ、目の当たりにし続けることで過度のストレスが急激に襲いかかった」と説明する。

門灯消えた住宅街

 東京都内の企業で産業医を務める浜口伝博医師(52)=産業保健=によると、震災後、「被災地の映像が頭をよぎる」と訴え、血圧の上昇や微熱が続く患者が後を絶たないという。

 浜口医師は「あれだけの映像を見続ければ衝撃を感じるのは当たり前だ。被災地に知人がいなくても、日本人であれば身近に思い、つらく感じる」と話す。

 計画停電で街の明かりが消えていることも抑鬱感を引き起こす要因になる。浜口医師は「北欧は冬の日照時間が短く『冬季鬱』になりやすい。東京の薄暗い地下鉄の構内や、門灯がすべて消えた住宅街を歩けば気がめいる。被災者のために何かをしたいのに何もできないという無力感も後押しする」とし、こう述べた。

 「何もしないとどんどん落ち込むので、やはり体を動かすのがいい。そのためにはしっかり寝ること、食べることが重要になる」

 スピッツの草野さんは快方へ向かっており、13日から公演を再開するという。

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