ハンバーガー界の“ラーメン二郎”を目指すバーガーキングそれゆけ! カナモリさん(1/2 ページ)

» 2011年04月13日 08時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年4月8日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


MEAT MONSTER

 4月4日付・日経MJに「バーガーキング」の新たな販促施策が掲載されていた。いや、それは単なる販促ではない。バーガーキングがバーガーキングたる、その存在価値を世に知らしめようという戦略なのだ。

 記事には「食材増量 大型バーガー」「トッピング自由 定着狙う」と見出しにあり、「定番ハンバーガーに様々な食材を増量した“MEAT MONSTER”」という説明が添えられた写真には、「あ〜ん」と口を開けて正面からかぶりつこうとすると、確実にアゴが外れそうな新商品が映っている。(単品・税込820円)。何と、通常の大型ビーフパティに1枚をさらに追加し、チキン1枚、チーズやベーコンを3枚もトッピングしたものだという。

 記事にある「トッピング自由」は、バーガーキングのニュースリリースを見ると、同社のブランドプロミスであるらしい。

 「米国バーガーキング社(以下:BKC)は、かねてよりブランドプロミスとして『HAVE IT YOUR WAY?』を掲げ、ビーフパティやチーズ、野菜、ソースなど、お好みに応じて増減が可能なメニューを提供してまいりました」とある。

 そもそも、「WHOPPER(ワッパー)」と呼ばれるバーガーキングのハンバーガーは「大盛り」だ。ビーフパティの直径は5インチ(約13センチ)・4オンス(約113グラム)。大型バーガーとして有名になったマクドナルドの「クォーターパウンダー」のパテの重量は1/4ポンド=約113グラム。マクドナルドの大盛りがバーガーキングのフツーサイズなのだ。さらに、具材をトッピングしていく。まるで、大盛りで有名な「ラーメン二郎」の「ニンニク入れますか?」のようだ。

 バーガーキングの狙いは「トッピングを覚えさせること」。記事には「バーガーキングは『HAVE IT YOUR WAY(すべてあなたのお好み通りに)』の名称で食材を自由にトッピングできる独自サービスを展開している。例えばトマトは50円、タマゴは100円など」と説明がある。今回、もう1つ発売された新メニュー「ALL HEAVY」(単品・税込420円)は定番の「WHOPPER」のレタス、オニオン、ピクルス、ケチャップを1.5倍に増量したものだ。お値段はすえ置き。

 しかし、「お得!」と思ったら、ちょっと待ったである。実は従来から「WHOPPER」にはそれらの本来料金設定がなされている具材を、無料でトッピングしてくれるサービスがある。種明かしをするなら、実は「ALL HEAVY」は始めから「WHOPPER」に無料トッピングできる具材をセットして、新たな名前を付けたに過ぎないのだ。

 なぜ、そんな複雑なことをするのだろうか。

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