世界初公開のカチナ! 「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」(4/4 ページ)

» 2011年04月12日 15時50分 公開
[草野恵子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム
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 スチールのエキスパンドメタルを使った作品も、一堂に集められている。立体的な網目を持つエキスパンドメタルは、通常は工業用資材として用いられるもの。中でも「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」は、メタルの接合部を極力ミニマムにして優美な一体構造に仕上げた椅子だ。

エキサイトイズム 「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」(椅子、1986年)
エキサイトイズム エキスパンドメタルを使った一連の作品

 ガラスを素材としてつくられた作品の中で眼を引くのは、やはり「割れガラスのテーブル」ではないだろうか。ガラスがもっとも美しい瞬間=割れる瞬間をとどめたテーブルは、ひび割れた強化ガラスを2枚のガラスで挟みこんだもの。

エキサイトイズム 割れガラスのテーブル

 これは、もともと倉俣氏から「ガラスのいちばん美しい瞬間はいつだ」と尋ねられた三保谷硝子店三代目の三保谷友彦氏が「ガラスの割れる瞬間です」と答えたところ、「ならそれを止めてみろ」と飲みの席でいわれたことがきっかけとなって生まれたもの。ひび割れの瞬間の美しさを留めたテーブル、ぜひ間近で見て確認してほしい。

エキサイトイズム 割れガラスのテーブル

 今回の展覧会の企画者である三宅一生氏は、21_21 DESIGN SIGHTオープン当初から、倉俣氏を取り上げた展覧会を行いたいと、長年企画をあたためてきた。しかし同時に、「倉俣史朗氏の単なる回顧展にはしたくなかった」と話す。むしろ、展覧会をきっかけにデザインが与えてくれる夢や希望を伝えていきたい、とりわけ、倉俣氏やソットサス氏が活躍した時代にはまだ生まれていなかった10代、20代の若者たちに、デザインの持つ素晴らしさと可能性について伝えていきたいと語る。

 奇跡の瞬間を追い続けたデザイナー、倉俣史朗氏。生涯、革新であり続けたデザイナー、エットレ・ソットサス氏。展覧会のエンディングには、心を通い合わせる2人の表情を的確にとらえた素晴らしい写真が展示されている。

「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」

21_21 DESIGN SIGHT

東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内

Open.11:00〜20:00(入場は19:30まで)火休

一般1000円、大学生800円

tel.03-3475-2121


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