先週末の大幅高の反動もあって軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月11日 15時57分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の大幅高の反動もあって軟調となりました。外国人も金額は買い越しながらも株数では相変わらず売り越しとなっており、円安に素直に反応し難い中で戻りも限界があることを示したような展開となりました。売り急がなければならない理由は特にないのでしょうが逆にこの水準からさらに買い上がるには不透明要因や懸念材料が多いと言うことなのだと思います。米国の政治の混乱もあり、欧州金融不安は薄れているのですがインフレ懸念も根強く、中東・北アフリカ情勢も、日本の原子力発電所も予断を許さず、買い手控え気分も強いのだと思います。

 依然として大震災の影響がまだまだ強く、戻りを試す展開とはなるのですが、上値も重くなっています。昨日の統一地方選の結果を見てもわかることは一つは今回の大震災の復興に関し、本来であれば行政主導で統一的に行わなければならないものがおそらく、誰一人として現在の政治に対し期待していないと言うことであり、また一つは国政レベルで考えれば現在の民主党政権では現在の危機に対処できないだろうと見ていると言うことでしょう。

 今回の選挙結果は実際に被災された方たちの投票が反映されたわけではなく、いわば、外から見ていた人たちの意見と見ても良いのでしょうが、今の原子力発電所事故への対応、震災被害への対応に傍から見ても不安と失望が入り混じっていると言うことなのだと思います。「頑張れニッポン」と声高に言うのは我々民衆であり、影響力のあるアスリートや芸能人で良いのですが、実際にその「頑張る」ことを具体的に体系だてて実行していくのが行政の役割ではないかと思います。

 株式市場でも「復興関連」として賑わっている銘柄もありますが、多分に材料株的に、幕間つなぎ的に「マネーゲーム」として賑わっていると言うことでしょう。ただ、本当に復興を期待するのであれば、復興に対ししっかりとリーダーシップを持ち、被災者のためになりつつ日本全体の復興を考えるような全体感を持った企業に投資をしたいと思います。また、個々の企業も自分たちの役割をしっかりと認識したうえで復興に向かって欲しいと思います。「世の中のため=社会的責任」をしっかりと果たせるような企業を探してみるのも良いのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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