業績の停滞やインフレから景気回復鈍化が懸念されて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年04月11日 08時57分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9768.08△177.15

<TOPIX>853.13△12.03

<NYダウ>12380.05▼29.44

<NASDAQ>2780.42▼15.72

<NY為替>84.76▼0.14

業績の停滞やインフレから景気回復鈍化が懸念されて軟調

 週末の手仕舞い売りに加え、原油先物など商品相場が上昇となったことでインフレでの景気回復鈍化やQE2(量的緩和)解除が懸念され軟調となりました。2011会計年度の予算に関して大統領と議会の協議が難航、政府の窓口が機能停止となる懸念が高まり手仕舞い売りを急がせる場面もありました。一方で、日本の大震災からの操業再開が相次いでいることや原子力発電所問題の悪化が見られないこと、また中東・北アフリカ情勢も一段落となっていることもあり、底堅さも見られました。

 順調な景気回復を織り込む動きはまだ続いているものと思います。ただ、それでなくても、QU2解除後の景気が気になるところに加えて、原油や金の先物価格を筆頭に商品相場の上昇からインフレ懸念も強まっており、企業業績の回復や経済指標の好転には素直に反応し難くなって来るのだと思います。1−3月期の企業業績の発表も始まり、業績動向や見通しの発表に一喜一憂する展開となって、指数の上値は重くなるのかもしれません。商品相場高が株式相場高に結びつき難くなってくるのだと思います。

 個別には週末の手仕舞い売りやインフレ懸念から景気敏感銘柄に軟調なものが多く、インテルやIBM、アップルなどのハイテク銘柄、キャタピラーやボーイング、GE(ゼネラル・エレクトリック)などが安く、ホーム・デポやウォルマート、コカ・コーラなど個人消費関連銘柄も軟調となりました。欧州金融不安は薄れたものの業績の停滞なども懸念されJPモルガン・チェースやバンク・オブアメリカなどの金融株も安くなりました。ニューモント・マイニングは手仕舞い売りに押されて軟調となりました。原油や金の先物が高く、パブリック・ゴールド、エクソン・モービルやシェブロンは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安や外国人が売り越しと伝えられたにも関わらず、先物・オプションSQ(特別清算指数)に絡む買いなどもあり、大幅高となりました。計画停電が中止になったことや復興需要に対する期待もあり、買い戻しを急ぐ動きとなったものと思います。操業を再開する工場なども多く、また、値がさ銘柄などに買い戻しや売られ過ぎの修正が見られ、大きく指数を押し上げる展開となりました。

 本日は先週末の地合いを引き継ぎ底堅い堅調な展開となりそうです。機械受注統計も発表されますが、大震災前の数字であり、先行きに対する懸念は根強く、特に反応することはないと思います。統一地方選の結果も予想された通りであり、政局の混乱は相場の足を引っ張ることにはなるのでしょうが、足元の状況は「復興第一」「原発第一」で一致しており、特に波乱要因とならないでしょう。原発問題がやはり足を引っ張る格好となり、上値も重くなるのではないかと思います。為替も落ち着いており、操業再開などが報じられたハイテク銘柄などが買い直されるのではないかと思います。

 日経平均は9800円〜900円水準の節目を試す展開となりそうです。ただ、先週末のような買い戻しを急ぐ動きが一段落となると上値が重く、上値の重さが確認されると再度9500円〜600円水準の節目を試す動きとなって来るのでしょう。復興需要や操業再開が好感されると9800円〜900円水準での節目を試し、原発問題の悪化などが取り沙汰されると9500円〜600円水準を試すと言うことになりそうです。

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