インタビュー
» 2011年04月09日 17時20分 UPDATE

Interview:ピエール・エルメ、「ロワイヤル・モンソー」を語る (1/3)

スイーツ界のパイオニアとして、常に特別な存在でありつづけてきたパティシエ ピエール・エルメ氏。「ピエール・エルメ・パリ」のさまざまなスイーツが堪能できるという話題のホテル「ロワイヤル・モンソー」などを語る。

[松浦明,エキサイトイズム]
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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 スイーツ界のパイオニアとして、常に特別な存在でありつづけてきたパティシエ、ピエール・エルメ氏。スイーツを主役にしたいまだかつてないコンセプトを打ち出したパリの最新ホテル「ロワイヤル・モンソー」では、ホテル全体のスイーツ監修・ディレクションを手がけるなど、先駆者ぶりは今ももちろん健在だ。今回、来日時にスペシャルインタビューを実現。話題のホテルの魅力の全容や、自身が「ピエール・エルメ・パリ」で追求しつづけてきた“味覚の歓喜”について、話を聞いた。

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――ルノートル、フォションで経験を積んだ後、1987年、老舗パティスリー「ラデュレ」の再生でスイーツ界に彗星のごとく登場されて以来、エルメさんのスイーツは食材や食感のコンビネーションで人々に多くの驚きをもたらしてきましたが、その独特の味覚はどのように構築されているのでしょうか? 例えば人気の定番商品「イスパハン」(マカロン生地、バラ風味クリーム、ライチ、フランボワーズ)の絶妙な組み合せはどのようなプロセスで誕生したのでしょうか?

 その質問についてお答えする上で、「イスパハン」は大変分かりやすい例だと思います。「イスパハン」はその誕生から20年以上もの月日をかけて現在の状態に進化してきました。

 元々は「Paradi(パラディ:仏語で「パラダイス」の意)」という名前のスイーツで、バラのババロアとフランボワーズ、バラの風味のビスキュイで構成したムース感覚のスイーツでした。イスパハンは1997年、このパラディにライチを加え、さらにはマカロンのカリカリ感、フランボワーズのフレッシュ感、クリームのふんわり感などを足して味覚を再構築したものです。

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 ちなみに、バラの花びらをこのスイーツに取り入れたのは、ブルガリアに旅した際に現地でバラの花びらを料理に多用していたことからヒントを得たからです。ライチを加えたのは、ライチの果実にバラの風味があると気付いたからです。

 「イスパハン」はその後もさらなる研究を重ねて、現在は15種以上におよぶ「FETISH」(「ピエール・エルメ・パリ」において進化し続ける風味の組み合わせ)のワンフレーバーとして、ジャムやパウンドケーキ、アイスクリームやパート・ド・フリュイ、ボンボンショコラなど、さまざまな味覚のファミリーを展開し続けています。

――例えばエルメさんのスイーツにもなじみの深いパリパリ、カリカリ、サクサク、といった食感は、多くの日本人が好む食感だといわれているように、日本人は食べ物における食感をとても重視するのですが、エルメさんご自身の「食感」への想いとはどんなものでしょうか?

 「食感」へのこだわりはもちろん人一倍強いと感じますが、「食感」だけではなく、さまざまな要素を合わせることで体験したことのない味覚の歓喜を生みだすことです。私がスイーツを創作する上で一番重要に思っているのは、人がそれを食べて歓びを感じてくれるかどうかということ。そして何よりも素直に美味しいと感じられるかどうかが第一だと考えています。食べた後に「美味しかった?」と聞かれて一瞬でも考えるようでは、それはきっと美味しくなかったのでしょう。それほど、味覚は正直な感覚だと思うのです。

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――食材からインスピレーションを受けて新しいフレーバーを開発されることが多いとうかがいましたが、エルメさんにが今まで出会った中で一番センセーショナルだった食材は何ですか? また、好きな食材、今一番注目している食材は何ですか?

 その時々において常に変化し続けていますが、今現在注目している食材は、セップ茸(フランス産のキノコ)と、茄子、胡椒。特に茄子は、焼いたり、炙ったり、おひたしにしたり、漬け物にしたりと、日本で実にさまざまな調理法で食されている食材の1つだと思いますが、私自身も実際にその風味や食感の多様性を体験して以来、とても興味を持っています。

 あと、最近とても美味しい胡椒に出会ったのです。やはり美味しい食材に出会うとついつい「何かに発展させたい!」とそわそわしてしまう。身に染み付いた性分なのですね(笑)

 まだ具体的にどうなるかは分かりませんしまだ何も語れないのですが、これらの食材をそれぞれ新しい味覚として発展させられないか現在研究中です。ちなみに、「ずっと変わらず」センセーショナルな食材であり続けているものは、やはりショコラ(チョコレート)でしょうか。ショコラは私のパティシエとしての人生においてもっとも重要な食材の1つだといえます。

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