高値警戒感もあって上げ一服清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年04月08日 08時34分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9590.93△6.56

<TOPIX>841.10△1.49

<NYダウ>12409.49▼17.26

<NASDAQ>2796.14▼3.68

<NY為替>84.90▼0.58

雇用の改善は見られ、景気回復を織り込む動きは続くが、高値警戒感もあって上げ一服

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想以上に改善、雇用の回復が期待されることなどから買い先行となりました。欧州の利上げもある程度織り込まれていたと言うことで特に材料視されることもなく、景気回復を織り込みながら目先的な過熱感、高値警戒感で上値も重くなりました。日本で再び大きな地震があったことから、大震災の影響とともに新たな影響を懸念する動きもあり、利益確定売りを急ぐような場面もありました。積極的に買い上がるだけの材料にも乏しくいったん利益を確保しようと言う動きが強かったものと思います。

 世界的な景気拡大の恩恵をどこまで享受できるのかを計りながらの展開となりそうです。懸念されていた雇用や個人消費も予想されていた以上に堅調、落ち込みも少ないと言うことで先行きに対する期待も根強いと思われます。ただ、景気回復が進み、金融緩和からのインフレ懸念が強まると今度はQE2(量的緩和)の「その後」が気になるところでもあり、基調は強含みなのでしょうが、この水準からは指数が上がれば上がるほどインフレなどを気にすることになり、上値も重くなって来るのだと思います。

 個別には朝方発表された小売り大手各社が発表した既存店売上高は総じて見ると思ったほど悪くないと言うことで、相場全体に与える影響は若干プラスに働いたのではないかと思われ、予想に反して3月の既存店売上高が増加したメーシーズが堅調、予想以上に増加したコストコ・ホールセールは大幅高となりました。金先物価格が高く、ニューモント・マイニングは大幅高となりましたが、パブリック・ゴールドは利益確定売りに押され、原油価格も高くエクソン・モービルやシェブロンも堅調となりました。欧州の利上げの影響はあまり見られなかったのですが、金融不安もくすぶっていることで、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株が軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安を受けて堅調な始まりとなったものの、引き続き大震災の影響が懸念されることや原子力発電所問題、計画停電の問題などから買い気に乏しく、幕間つなぎ的に買われる銘柄も散見されるのですが、指数を押し上げるような動きもなく冴えない展開となりました。円安となっても外国人も売り越し基調と言うことで、「日本売り」となっており、素直に輸出企業の業績拡大に結び付けて買い上がると言うことにはならず、相場全体に売られ過ぎ修正からの手詰まり感も出ているようです。

 欧米市場が冴えない展開となったことや為替も円高に振れたこと、また昨晩の地震の影響も懸念されることから本日の日本市場は冴えない展開となりそうです。原子力発電所の回復などに支障が出るようなニュースがあれば、さらに売り急ぐ展開となりそうです。欧米での金融緩和終了を受けて、「円キャリー取引」などが活発になれば、円安となっても日本からの資金流出となり、復興需要での資金投入が必要なときにマイナスの効果となりそうです。いずれにしても復興需要が期待される銘柄などが幕間つなぎ的に散発的に買われ、売られ過ぎ銘柄の底堅さに期待する展開になりそうです。

 本日は先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出日ですが、始めての225mini先物とオプションのSQと言うことで波乱もあるかもしれません。ただ、寄り付きの売り買いが増えるだけで大勢に影響はなく、引き続き日経平均は9500円〜600円水準での底堅さを試す動きとなりそうです。昨晩の新たな地震の影響などが判明するまではしっかりと買い切れず、手仕舞い売りに大きく押される場面も出て来るのかもしれません。特に原子力発電所事故処理に地震の影響が大きいとなると、改めて日本全体が売り直されて、下値の目処となる9200円〜300円水準を目指すことになりそうです。

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