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以下「そもそもこの国で……『記者クラブ問題が存在しない』理由」(2009年7月29日)の冒頭部分を再掲します。「まとめ読み!誠 PDF」をダウンロードすると、ジャーナリストの上杉隆さんと人気ブロガーのちきりんさんの対談をまとめて読むことができます。
ちきりん:アンチといえば……“アンチ上杉”さんという人も多いのでは? 1年ほど前に『ジャーナリズム崩壊』という本を出されて、その中で痛烈に日本の記者クラブについて批判されていますよね。
上杉:これまで記者クラブ批判をした人はたくさんいますが、多くの人は“失敗”してきました。あるジャーナリストは「記者クラブなんて批判しても何も変わらない。時間のムダだから止めたほうがいい」と話されていました。また『新聞が面白くない理由』を書かれた岩瀬達哉さんも「もう記者クラブを批判するのは止める」と言っていました。そこで僕は「分かりました。それでは僕が引き継ぎます」といって、記者クラブ批判の本を書いたのです(笑)。
フリーのジャーナリストで記者クラブを批判している人は多いのですが、声を大にして批判する人は少ない。その理由は、取材がしにくくなるから。例えば僕が記者会見の席で質問しても、テレビや新聞で掲載されることは一度もない。よく新聞で、大物政治家の記者会見の様子が全文掲載されていますが、僕が質問したところは“記者クラブの意向”でカットされてしまう。
ちきりん:それはヒドイですね。ただ民主党が政権を取れば、記者クラブがなくなるかもしれませんよね?
上杉:そのことを記者会見で質問したことがあります。すると鳩山由紀夫さんは「どうぞ記者会見にお入りください」と話されていたが、その部分は削除されていた。
つまりこの国では、記者クラブ問題は「存在しない」ということになっています。実は記者クラブを批判するということは、ジャーナリストとして“消されてしまう”危険性があります。そこで僕は『小泉の勝利 メディアの敗北』という本の中で、自身の記事を掲載し、ミスを自己検証し批判を加えた。いわば“自爆本”ですね。これだと誰も文句は言わないだろうと思い、とにかく自分のことを批判していった(笑)。
また『ジャーナリズム崩壊』が出る前に、僕はテレビに出演し、露出を高めていったのです。もちろんテレビ局は記者クラブに加盟していますが、本が出版されたからといって、テレビ局は僕を降板させることができないだろうと思ったわけですね。もし僕が雑誌やスポーツ新聞だけで書いていたら、“黙殺”されて終わりだったでしょう。記者クラブ問題は取り上げられなかったら、何もなかったことと同じですから。昔、立花隆さんも記者クラブのことを批判していましたが、やや突っ込みが足りなかった。なぜなら立花さんは文藝春秋のOBで雑誌側の人間だから。
ちきりん:本を出版されたとき「仕事がなくなるのではないか」といった不安はありませんでしたか? (続きは「まとめ読み!誠 PDF」で)。
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