地方の人は“イマイチ新聞”を読まされている烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(3)(5/5 ページ)

» 2011年04月08日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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窪田:横浜出身の記者の机の上には、横浜に住んでいる家族の写真が飾られていたり。単身赴任の人は土日になれば新幹線で東京に帰ったり。これは岐阜支局だけの話ではなく、日本全国で同じようなもの。やはり地方の読者はバカにされていますよ。

烏賀陽:新聞社は地方の人に「あなたたちは大切です」と言っている。しかしちびっ子記者が支局に配属されているので、地方は質の低い紙面を読まされている。読者は同じお金を出しているのに“イマイチの新聞”を読まなければいけない。何でそんな新聞社の都合を読者が受け入れなければならないのか。

 岐阜県でiPodを買うと「東京では60GBですが、岐阜では容量が1GBしかありません」なんて言ったら怒られます(笑)。地方で全国紙を購読するということは、そういう話なんです。

窪田:ハハハ。

烏賀陽:なのに、全国紙の記者をしていると、それが当たり前のように感じてしまう。彼らにすれば地方支局というのは、新人研修の場にすぎませんから。しかしそれは社内の都合であって、読者に押し付けてはいけない。このことを誰も言わないことが問題なんですよ。

 →続く

2人のプロフィール

烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)

1963年、京都市生まれ。1986年に京都大学経済学部を卒業し、朝日新聞社記者になる。三重県津支局、愛知県岡崎支局、名古屋本社社会部を経て、1991年から2001年まで『アエラ』編集部記者。 1992年にコロンビア大学修士課程に自費留学し、国際安全保障論(核戦略)で修士課程を修了。1998年から1999年までニューヨークに駐在。 2003年に退社しフリーランス。著書に『「朝日」ともあろうものが。 』(河出文庫)、『Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 』(岩波新書)などがある。

窪田順生(くぼた・まさき)

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、フライデー、朝日新聞、実話紙などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。著書に『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)などがある。


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