地方の人は“イマイチ新聞”を読まされている烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(3)(2/5 ページ)

» 2011年04月08日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

見えない“38度線”が存在している

窪田:紙面が変わりませんね。「紙面改革しました」といっても、文字を大きくして読みやすくしたり、写真を大きくして見やすくするだけ(笑)。改革、改革といって実は根本的に何も変えないという、お役所の改革案と似ていますよね。

烏賀陽:新聞紙面というのは新聞社の組織の反映なんです。すべての新聞がそう。編集局の中に政治部・経済部・社会部・学芸部といったセクションがあって、そのセクションが紙面を埋めていくので。

窪田:そうした組織から生まれてくる新聞を読まされる読者はたまりませんね。

烏賀陽:朝日新聞で例えると、“朝日新聞社内新聞”といった感じ(笑)。

窪田:ハハハ。

烏賀陽:学生のころに「なぜこんな紙面になるんだろう?」と疑問に感じていたんですが、会社に入ってその謎が解けましたね。政治部や経済部などが争ったことが、そのまま紙面に掲載されているんですから。

 政治部に演劇に詳しい記者がいても、彼が演劇評を書くことはできない。読者にすれば経済部であろうと政治部であろうと、演劇に詳しい人の記事を読みたいはず。しかし紙面は組織の反映でしかない。

 例えば政治面と文化面の間には、読者には見えない“38度線”が存在しているんですよ。政治部の記者が文化部を飛び越えて、文化面で書くということは絶対にあり得ない。

 そんなことは「紙面の外でやってくれ!」という話なんですが、実際にはセクショナリズムを紙面にして読者に読ませている。

窪田:そんな社内新聞が800万部、1000万部も刷られていると考えると、ひどい話ですねえ。

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