地方の人は“イマイチ新聞”を読まされている烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(3)(1/5 ページ)

» 2011年04月08日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 新聞を読んでいて「なぜこんな紙面になるんだろう?」「記者はもっと面白い記事が書けるのでは?」と思ったことがある人もいるだろう。この疑問に対し、ジャーナリストの烏賀陽弘道さんは「紙面には見えない“38度線”が存在する」という。また地方面がつまらない理由についても、ノンフィクションライターの窪田順生さんと語り合った。

キャリアとノンキャリアと構造

窪田順生さん

烏賀陽:朝日、読売、日経、読売、共同通信で記者をしている人は学歴のハイエンド層が多い。ハイエンド層が多いと、内部闘争が激しくなる。よく「プライドの高い集団」と言う人がいますが、そうではなく「人生勝ちっぱなしで来た人たち」と言う方がしっくりくる。彼らは「負け」を受け入れることができないんですよ。

窪田:記者には2パターンあるのではないでしょうか。1つは地方支局でのんびり仕事をこなすタイプ。もう1つはずっとハイエンドで生きてきて、“朝日山”や“日経山”、“読売山”を登り詰めようとするタイプ。

烏賀陽:東大を卒業した本家本流の人たちと、不定期採用で入社した人または地方ばかりをグルグル回っている人たち。まさに2重構造になっていて、それは官僚組織のキャリアとノンキャリアと構造は同じ。

 全国紙を見ていると、日本企業の悪しき伝統文化、構造のようなものを、実にうまく保存しているんです。蒸気機関車の動態保存のようだ。そう考えると、文化財として貴重ですよね(笑)。

 例えば山手線をSLの蒸気機関車が走っていて、それに乗らされている感じ。2〜3回乗るならいいが、通勤で毎日乗るなんてイヤでしょ? しかしSLを運転している側は「これ、いいでしょう♪」と勘違いしている。今、新聞と読者の間では、このような構図が生まれているのではないでしょうか。

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