引き続き「日本売り」で冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月07日 16時50分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 相変わらず「日本売り」となっているようで、今日も債券が売られ、円も売られ、株も冴えない展開となりました。物色対象が絞り切れず、全体的に買い気に乏しい中で指数を押し上げるだけの力がないと言うことなのでしょう。大震災の影響も徐々に見極められて来るのでしょうが、原子力発電所問題が解決しないことには日本売り、が止まらない可能性もあり、「日本売り」がどこで止まるのか、が今後は注目されるのではないかと思います。円安を好感する動きとなって株が買われると言うことでも良いのでしょうし、日本の復興のために日本に資金が流れ込むと言うことでの円高でも良いのだと思います。

 円安が好感される動きになりません。もともと自国通貨が強いことが良いのか弱いことが良いのか問題ではあるのですが、とりあえずこれまでの日本の株式市場では円安と言うことで輸出企業の収益が増加すると言うことで、円安が株高と見られていました。ただ、今のように世界中でインフレ懸念が強まるなかで、いつまでも金融緩和を続けていると「円キャリー取引」で日本から資金が流出する可能性もあり、そうなると円安だからと言って、資金は日本から海外へ流れて、日本の企業への投資や日本国内の資金が減ってしまうと言うことになりかねないのです。

 単純に円安が株式市場にとって良いものなのかどうかしっかりとお金の流れを見てみなければならないのではないかと思います。先月期末の「外国人買い」も大震災の後に外国人が買っていると言われていましたが、原子力発電所の問題で日本から脱出する外国人が多いなかで株を買うと言うのもおかしな話です。実際に買っていたのかもしれませんが、期末を控えての買い戻しも多かったのではないかと思います。ここへきて朝方市場筋の情報として伝えられる、外国人の売買動向も売り越しとなることが多く、これだけ金融緩和をしているなかで債券も売られているところをみると、やはり「日本売り」と考えざるを得ないのだと思います。

 現状の日本企業の状況を見てみると、復興需要に対する期待はあるものの、復興や復旧の前に、原子力発電所がどうなるかわからないと言う状況や、計画停電、電力の供給不足が懸念されるなかでは今後の計画も立たないのではないかと思います。これから決算発表も始まりますが、今回の決算発表はかなり波乱も多いのではないかと思われ、そういうことを考えると日本株は買い難いと言うことになってしまいそうです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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