世界的なインフレ懸念の高まりから堅調だが上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年04月06日 08時49分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>9615.55▼103.34

<TOPIX>847.16▼12.59

<NYダウ>12393.90▼6.13

<NASDAQ>2791.19△2.00

<NY為替>85.04△1.00

商品相場の上昇、中国利上げなど世界的なインフレ懸念の高まりから堅調だが上値の重い展開

 中国が利上げを発表したことや引き続き中東・北アフリカ情勢が緊迫化していることなどから、世界的なインフレ懸念が根強く上値の重い展開となりました。FOMC(公開市場委員会)議事録のなかでも物価上昇にやや警戒感を示す内容と受け止められ、QE2(量的緩和策)が予定通り6月で終了するとの見方から株式市場からの資金流出も懸念されました。ただ、商品相場が堅調なことから素材株などが買われ、M&A(合併・買収)報道で半導体株が買われ、指数は底堅い堅調な展開となりました。

 「QE2の後」が取り沙汰されるようになりました。世界的なインフレ懸念が強いのですが、逆に言えば投機的な資金も含めて大きなお金の流れは順調に流れているということで、企業業績の拡大期待もあり、底堅さも見られるものと思います。一方で金融引き締めとなると、商品相場も含めて今の相場上昇を支えている投機的な資金の縮小も懸念され、上値も重いということなのでしょう。ただ、ここからは1−3月期の業績の発表が始まることで業績動向に一喜一憂することになるものと思います。

 個別には前日の引け後にTI(テキサス・インツルメンツ)が買収すると発表したナショナル・セミコンダクターが約70%上昇となり、連れてフェアチャイルド・セミコンダクターなど半導体株が高く、指数でのウェイトが引き上げれることもあり、インテルも堅調となりました。指数のウェイト引き上げではマイクロソフトも引き上げられて堅調、アップルは逆に引き下げで軟調となりました。金先物価格が最高値更新となったことから、パブリック・ゴールドとニューモント・マイニングは大幅高となりました。四半期決算で赤字幅が予想より大きかったKBホームが大幅安、逆に業績見通しが予想を上回ったアバンクロンビー・アンド・フィッチが急伸となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が底堅い堅調な展開となり、為替も円安気味となり買い先行となりました。ただ寄り付きの買いが一巡した後は原子力発電所の問題が解決の兆しも見られないことなどが嫌気されて売られ、大幅安となりました。買戻しで戻り歩調となる場面もあったのですが、特に買戻しを急ぐでもなく、手仕舞い売りや見切売りに押されて大幅安となりました。円安への反応は相変わらず鈍く、「日本売り」と言う様相を呈していました。

 米国市場は上値は重いながらも底堅く、堅調なのですが日本市場では大震災の影響を見極める動きとなり、指数に大きく方向感が見られるような展開ではないと思われます。企業業績の先行きに対しても直接被害を受けたところだけなく、部品や商品の供給に懸念が残り、「先が読めない」状況であり、少なくとも大きく売られる場面では底堅さも見られるのでしょうが、積極的な買いは引き続き手控えられそうです。中国利上げの影響は上値を押さえる要因にはなっても大きく下押す要因にはなり難いと思われます。

 日経平均の水準は売られ過ぎの修正が行われる水準が9500円〜600円を中心とした水準と言うことになりそうです。原子力発電所事故、計画停電の影響が取り沙汰されると、この水準を中心に下値を試し、復興需要などが期待されると上値を試すということではないかと思います。原子力発電所事故の問題がある程度見えてきて、企業の損害や大震災の影響が織り込まれ、復興需要が期待されるとしっかりと10000円を抜けて来るということなのだと思います。

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