コラム
» 2011年04月06日 08時00分 UPDATE

日本はどこに向かうのか? 政府は震災後の青写真を示すべき (1/2)

東日本大震災が発生して以降、懸命の復旧作業が続いています。しかし、いまだに復興への大きな道筋やシナリオ、これからの日本のあるべき姿などの青写真は見えてきません。政府関係者は、今こそマーケティングを学んで、顧客である国民に“ホールプロダクト”を示すべきではないでしょうか。

[三宅信一郎,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:三宅信一郎(みやけ・しんいちろう)

BFCコンサルティング社長。北海道大学経済学部経営学科卒業後、大手総合商社、コンサルティング会社、IT企業において長年に渡り、一貫して新規ビジネス開発分野に関わる。


 いまだに日本政府からは、政府が考えているソリューションの全体像が見えてきません。今後、日本はどのようなステップで、どのような青写真のもとに、何を実行していこうとしているのかといった発信がなされずにいます。その代わりに、被災地や福島第1原発の現場で行われている救援活動状況ばかりが断片的に伝わってくるのみです。

 今こそ政府は、国民あるいは世界に向かって、「日本はこうなっていく!」という明確で強いメッセージを発する時期だと思います。

 マーケティングには、サービスや製品を提供する「提供者」と、そのサービスや製品の提供を受けて、ベネフィットを享受する「顧客」という概念が存在します。今回はサービスや製品を提供する提供者を「政府」、そしてベネフィットを享受する顧客を「国民」と置き換えて考えてみたいと思います。

 マーケティングの考え方の1つに、「ホールプロダクト」という考え方があります。顧客が期待するサービス・製品は、1つの価値だけで成り立っているのではありません。いくつもの価値が複合して機能して初めて、顧客は満足するのです。それをホールプロダクトと呼んでいます。

 ホールプロダクトは中心から外側に向かって「コアプロダクト」「期待プロダクト」「拡張プロダクト」「理想プロダクト」の順に4つの層をなして形成されています。

 コアプロダクトというのは、顧客が抱えている課題・問題などを解決するための中核となるベネフィットで構成されています。顧客が製品やサービスを購買する場合に必ず求めるものです。例えば、PCの場合は仕様通りのPCそのものです。

 期待プロダクトというのは、顧客が購入する際、「こうであるべきだ」と考える製品・サービスのことで、顧客満足のためには最低限そろっている必要があるものです。PCの場合だと、液晶モニターは当然付いているはずだと考えます。

 拡張プロダクトというのは、コアプロダクトの機能を拡張するために準備された数多くの付属品やサービスのことです。顧客の購入目的を最大限満足させるために必要なもので、PCの場合だと、プリンターや、24時間対応のカスタマーサービス受付、使い方の勉強会などです。

 理想プロダクトというのは、顧客に提供される価値の上限を指し、「顧客がこれ以上の製品・サービスは求めることはない」というものです。

 上記で分かる通り、顧客がPCを買う目的は、PCという物理的な箱を所有することが目的ではなく、快適に効率よく情報を収集・加工し、仕事の能率を格段に向上させるための機能を買う、つまりホールプロダクトとして買うのです。

 例えば、ゴルフ場でプレーするのは、ボールを打つことが目的ではなく、「友達と楽しく自然の中でプレーを楽しみ、もっと親交を深めたい」ということが目的であったりします。

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