ミニストップに学ぶ「震災対応」と「商売」の両立とは?それゆけ! カナモリさん(1/2 ページ)

» 2011年04月06日 08時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年4月1日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 3月28日付日本経済新聞にわずか40行の小さなベタ記事が掲載された。タイトルは「ミニストップが独自の品薄対策 牛乳やおにぎり」。東日本大震災に対応した対策ではあるが、実はそれは同社が以前から構築してきた体制があってのことであるのだ。

 記事中の「牛乳やおにぎり」はまったく別々の施策。「牛乳」の対応とは、被災地の品薄を緩和するため。「宮城、福島両県の約130店舗で26日に売り出したのは北海道地盤の中堅コンビニエンスストア、セイコーマートのPBの牛乳(1リットル)」と、記事にある。イオングループである同社が他社のPBを扱ったのである。確かにこれはニュースだ。しかし、これにはもっと深い話が読み取れる。

 セイコーマートは北海道を地盤とする業界7位のチェーンだ。生鮮品とPB商品の取り扱いに実績があり、店舗が道内に約1000店、関東地区に約100店(Wikipediaを参考)を展開している。つまり、ミニストップが今回牛乳を提供する地域では店舗を持っていない。該当地域においては競合でない供給元から仕入れるという仕組みを構築できたからからこそ、実現できた被災地支援なのである。

 もう一方の「おにぎり」の対応も出色である。記事には「首都圏では店内で製造できるおにぎりを強化している」と棚に商品を店員が並べる写真も添えられている。また「手作りおにぎりを導入している首都圏の約260店では『帰宅困難者が殺到した時も店内で作り続けられた』(阿部信行社長)ため、従来は20〜30キログラムだった米の店内在庫を倍増する」とある。

 上記によると、震災後の対応のようにも読み取れるが、実はミニストップは2010年9月から「手作りおにぎり」に注力する動きを加速している。

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