「日本売り」の様相で大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月05日 16時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は底堅い堅調な展開となり、為替も円安一服となったものの円安気味でしたが、一時大幅下落となるなど軟調な展開となりました。値下がり銘柄数も多く、買い気の乏しいなかで見切売りも多いものと思われます。外国人も売り越し(金額は買い越し)と伝えられ、値がさ銘柄の一角などは堅調でしたが、昨日までと同様に「日本売り」と言う状況で、一時債券も売られ、株も売られ、為替も売られていました。

 やはり、引き続き原子力発電所問題に解決の糸口も見られず、かえって悪化しているのではないかと懸念も根強く、値ごろ感から買って見たものの最後まで買い切れないと言うことなのだと思います。計画停電でも工場の操業が続けられる蓄電池システムを開発したと報じられて新神戸電機(6934)が買われるなど、個別の「節電」や「電力=スマートグリッド」関連銘柄が買われ、逆に大震災の影響や計画停電の影響で部品供給が止まり、工場の操業を止める可能性があるということでトヨタ(7203)が売られるなど、震災の影響が多く見られます。

 業績面でも大震災の影響で大幅増益が大幅減益になりそうだなど、今後もまだまだ大震災の影響が出てくるのだと思います。大震災直後のパニック的な売りから売られ過ぎの修正は見られたものの復興需要を取り沙汰して買い上がるにはまだ原子力発電所の問題や企業業績に与える影響などが懸念されることから、影響や海外投資家の動向、物色動向などをしっかりと見極めたいと言うことなのだと思います。

 まだ、原子力発電所問題も解決の兆しも見られず、計画停電も夏場にはかなり厳しくなりそうだとの見方もあり、今後も「節電」や代替生産、あるいは発電機などに関連する銘柄は物色されるのかもしれませんが、大震災の影響が懸念されるうちは上値も限られそうです。円安も素直に好感すると言うよりは「日本売り」になっていないかどうか、業績に対する影響はどうかなどを見極めた方が良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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