目先的な過熱感もあって上値が重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年04月05日 08時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>9718.89△10.50

<TOPIX>859.75▼2.87

<NYダウ>12400.03△23.31

<NASDAQ>2789.19▼0.41

<NY為替>84.04▼0.02

M&Aや景気回復期待から堅調だが、目先的な過熱感もあって上値が重い

 M&A(合併・買収)に絡む話題が多かったことや世界的な景気拡大期待もあって商品相場が堅調、中東情勢や欧州金融不安にも落ち着きが見られることから買い先行となりました。ただ、ダウ平均が2年10カ月ぶりの高値となったように、懸念材料も多いなかで目先的な過熱感もあって上値も重く、半導体需要の落ち込みから半導体関連銘柄が軟調となったこともあり、ダウ平均は素材株が高く堅調となったもののナスダック指数は小幅安となりました。

 引け後に半導体株のM&Aの話が飛び出し、再編がらみの動きも見られそうです。世界的な景気拡大が続く中で景気回復を織り込んできましたが今後はインフレなども懸念され、QE2(金融緩和)の「出口」を模索することになるのでしょう。個別企業の決算発表も始まるところで、懸念が多い外部環境と好調な米国内での景気回復をどのように織り込んでいくのかが注目されます。ただ、足元の企業業績は好調なものが多いと思われ、好調な企業業績を織り込みながら強含みの展開が続くのだと思います。

 個別には通常取引では半導体の需要鈍化が嫌気されて軟調となっていたナショナル・セミコンダクターはTI(テキサス・インツルメンツ)が買収すると発表したことから時間外取引で大幅高となりました。TIは財務負担も懸念されて通常取引、時間外取引ともに軟調となっています。同様にインテルなど半導体関連銘柄は軟調となり、連れてアップルやIBMなども売られました。欧州金融不安が一段落となったことで、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカは堅調、世界的な景気拡大が期待されて、アルコアなど素材株、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーターなど景気敏感株が高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安を好感して買い先行となったのですが、円安の割には上値も重く指数だけを見ていると冴えない展開となりました。外国人も売り越しと伝えられ、債券も軟調となったことや原子力発電所の問題もあり、「日本売り」と言う様相を呈し、売りも嵩んだものと思います。指数に影響の大きな銘柄が堅調で日経平均はプラスとなったのですが、値下がり銘柄数は1000銘柄を超え、冴えない雰囲気でした。

 米国市場が底堅い堅調な展開となったことから日本市場も底堅い堅調な展開が期待されます。相変わらず原子力発電所問題に進展は見られず、「日本売り」が続く可能性もありそうですが、米半導体企業に再編の動きが見られることから、「再編」に絡む話題もあるかもしれません。ただ、半導体需要の鈍化が懸念され、半導体関連銘柄などが円安一服ということもあって軟調となって指数の足を引っ張ることになるのかもしれません。ただ、世界的な景気拡大や復興需要に期待して素材関連銘柄に注目する動きが見られると指数を支えることになるのでしょう。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準を下値に9800円〜900円の水準が上値となるようなもみ合いの中で方向感が見られないのだと思います。原子力発電所問題の悪化が見られる、計画停電の影響が取り沙汰されると9500円〜600円水準を割り込み、下値を試すことになるのでしょうが、逆に原子力発電所問題に進展が見られる、あるいは計画停電の影響も限定的となって復興需要期待が高まると9800円〜900円水準を抜けて来ることになるのでしょう。

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