人は仕事によって作られる――新社会人に贈る言葉(1/5 ページ)

» 2011年04月05日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 この4月から社会人となられるみなさん、おめでとうございます。厳しい就職戦を乗り越えてひと安心したのも束の間、晴れの門出の直前に未曾有の大震災が起こりました。会社によっては入社式を自粛するところもあります。本当に大変な時期のスタートとなりましたが、こういう時こそ、日本はみなさんの若い息吹を必要としています。きょうは餞(はなむけ)として、次の3点をお話ししたいと思います。

(1)仕事は「機会(チャンス)」に満ちている

(2)山(=働くこと)はデカくて、その楽しみ方にはいろいろある

(3)大きな生き方・生き様に触れよ

その仕事は作業ですか? 稼業ですか? 使命ですか?

 みなさんは厳しい就職戦を乗り越え、晴れて仕事の舞台を得ることができました。新入社員研修を終えると、配属があり、そこからはいよいよ大切な仕事を任されることになります。そしてその仕事の成果でもって生計を立て、仕事の経験によってさまざまなことを学び成長していくことになります。社会人になるとは、言いかえれば仕事ともに人生を進めていくことでもあるのです。

 さて、職場に配属されればすぐに気付くでしょうが、私たちは日ごろ、「仕事」という言葉をよく使います。―――「この伝票処理の仕事を明日までに片付けておいてほしい」「営業という仕事の難しさはここにある」「課長の仕事はストレスがたまって大変だ」「彼が生涯にわたって成し遂げた仕事の数々は人びとの心を打つ」「そんな仕事はプロの仕事とは言えないよ」「あの仕事ができるのは、日本に10人といないだろう」……。

 「仕事」という言葉は、意味的に大きな広がりをもっています。仕事は短期・単発的にやるものから、長期・生涯をかけてやるものまで幅広い。また、自分が受け持つ大小さまざまの仕事に対し、動機の持ち具合もいろいろあります。例えば、やらされ感があったり、いたしかたなくやったりする仕事もあれば、自分の内面から情熱が湧き上がって自発的に行う仕事もあります。そうした要素を考えて、仕事の面積的な広がりを示すと次のような図になります。

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