ヨン様からおひとり参加限定の旅まで……高齢者向けビジネスあれこれちきりんの“社会派”で行こう!(1/3 ページ)

» 2011年04月04日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2009年3月20日と3月28日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。ちきりんさんが茨城で被災、東京に戻るまでのドキュメントはこちら→「03.11 大惨事とミラクル」(参照リンク)


 これまで3回にわたって、日本では高齢者に金融資産が集中している状況を紹介してきました。

 →若者はお金を持っていないんです!

 →日本の消費プロモーションに足りないもの

 →“若者的なる者が消費する”という概念

 そんな50歳以上の人の貯蓄を消費に向かわせた例としては、“ヨン様”が挙げられます。日本のドラマがどれも若者向けに作られる中、50〜70歳の女性の心をがっちりつかんだのが『冬のソナタ(冬ソナ)』でした。

 韓国ドラマのスペシャルDVDボックスは数万円、ファンミーティングのために地方から東京に出てくると交通費や宿泊費、参加費で10万円、韓国までツアーに出かけてヨン様にプレゼントを渡し、山ほどお土産グッズを購入すると20万円……。

冬のソナタ DVD-BOX

 2008年にはヨン様の追っかけ費用を捻出するため、顧客口座から億単位のお金を盗んだ50代の女性郵便局員が捕まりましたが(参照リンク)、そこまでいかなくても数百万円単位でヨン様にお金を投じたシニア女性は少なくありません。それらが彼女らの“夫の収入”や月々の年金の範囲内で収まるはずもなく、「1400兆円の貯蓄の一部」がヨン様のために切り崩されたはずです。

 ちなみに、ヨン様の2005年の年収は43億円と報じられました。タレント本人の取り分が2割だったとして全体で動いたお金は1年で215億円、何年も続いたブームを考えるとこれまでに800〜1000億円でしょうか。ヨン様1人でこれなら、いったい韓流ブーム全体でいくらの支出が行われたのか、想像するだけでクラクラします。

 これは、インパクトのある商品を提供できれば、50代以上の人たちが貯蓄を消費に回す可能性は十分にあるという象徴的な例だったと思います。

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