米を水道水以外で炊いてみた誠 Weekly Access Top10(2011年3月19日〜3月25日)

» 2011年04月01日 11時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 3月11日に起こった東北関東大震災から3週間。その影響はいまだ大きく、Business Media 誠でも、震災発生以降ずっと、関連の記事がアクセスランキングの上位を占めている。

 直接被災しなかった首都圏の人々にとって目下最大の関心事は、津波で事故を起こしている福島原発だろう。操業停止となったことで関東で計画停電が行われているだけでなく、周囲の地域に放射性物質もまき散らしているのだ。

 筆者はもし停電になったら、その時間は寝ればいいと思っているのだが、放射性物質の方は深刻である。東京では3月23日、金町浄水場から放射性ヨウ素が210ベクレル/キログラム検出され、「乳児による水道水の摂取を控えてほしい」という要請があった。そこまで高いレベルの量ではないのだが、それを機にスーパーやコンビニではミネラルウオーターが品切れ状態となってしまった。

 その後、放射性ヨウ素の値は減少し、摂取制限も解除されたのだが、問題は万が一さらに高いレベルの放射性物質が検出された時のことである。水道水に放射性物質が増えると困るのが、食事の準備。特に日本食の代表である米を炊くには、多量の水が必要である。

 水道水が使えない、ミネラルウオーターも売り切れ。そんな時にはどうすればいいのか。そこで、水道水以外でも、おいしく米を炊けるのか試してみることにした。使用したのは、コンビニで買った500ミリリットルの麦茶。1合炊くのに250ミリリットル必要なので、1本で2合炊けることになる。

ドボドボと麦茶を注ぐ
ちょっと不安になる色だ
炊き上がりはやや茶色に。お茶の匂いはそれほどしない。しばらく放っておくと、赤飯のような色になった

 食べてみると、意外(?)にも味はそれほど悪くない。普通の白飯と違い、お茶の風味があるので、おかずなしでそのまま食べられる。

 よく調べてみると、郷土料理に茶飯(茶粥)というものがあるようで、奈良県や静岡県で食べられているということだ。「江戸の始め、お茶の産地だった奈良では、上納した後に残ったお茶で炊いたお粥が茶粥の始まりだと言われている」ということらしい。

 麦茶でうまくいったことに気を良くして、次は人気のペットボトル商品、スポーツ飲料でも炊いてみることにした。使用したのはポカリスエット。

色は水と変わらないのだが……
炊き上がりは一見、普通の白飯と変わらないが、少しピカピカしている印象がある

 こちらの味は……残念ながら、麦茶で炊いた時ほどおいしくなかった。ただ、スポーツ飲料として飲んだ時ほど甘くはない。それでも、ややくどい味ではあるのだが、我慢できなくはないので、緊急の時には使っても良さそうだ。米も糖分も炭水化物なので、栄養は偏ってしまいそうだが……。

 水以外でも意外としっかり炊けることが分かったので、個人的にはうまく米を炊けるような飲料がないか探したいところである。普段は白飯と一緒に食べる味噌汁や薄めたカレーで炊いたらどうなるか、気になるところだ。以前、カップめんにお湯以外のさまざまな液体を注いで食べていた個人Webサイトを見たことがあるのだが、いろんな飲料で米を炊いてみるWebサイトを立ち上げたら面白いのではないかとも思う。

 考えてみると、歴史的にも制約から生まれた料理は少なくない。例えば、郷土料理のなれずしは、腐りやすい魚のデメリットをどう解消するかという工夫から生まれた料理である。スーパーの品揃えが変わるなど、いつもの料理を作ることが難しくなりつつある昨今、逆にそうした制約から、新たな料理が生まれることも期待したい。

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