改善継続や通信業界の再編期待を受けて堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月31日 08時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>9708.79△249.71

<TOPIX>866.09△15.88

<NYダウ>12350.61△71.60

<NASDAQ>2776.79△19.90

<NY為替>82.87△0.39

雇用指標の改善継続や通信業界の再編期待を受けて堅調な展開

 週末の雇用統計の発表を前に民間調査会社が発表した全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が前月に続いて順調な増加を示したことや通信業界のM&A(合併・買収)などに絡んで再編の動きが見られることが好感されて堅調となりました。欧州の金融不安や中東情勢、日本の原子力発電所問題など世界的に懸念される事象が小康状態となったことで、改めて米国企業の業績回復、米国景気の回復を織り込む動きとなりました。

 住宅指標などに落ち込みは見られるものの、雇用や個人消費の動向を示す指標に改善の兆しが見られることで、堅調な地合いが続いています。市場で懸念される事項も米国外のものが多く、米国企業に直接大きな影響を与えるものではないことから足元の景気回復を織り込む展開となっているのだと思います。ここからはインフレ懸念やQE2(金融緩和)の「出口」が取り沙汰されることが上値を押さえる要因となって来るのだと思います。

 個別にはデビットカードの規制が強化されるとの懸念が薄れたことから、アメリカン・エキスプレスやビザ、マスターカードなどが買われ、連れてということに加え、欧州金融不安も一段落となったことでJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなども堅調となりました。ドイツテレコムの米携帯電話部門の買収に絡んで通信業界の再編が期待されてAT&Tが高く、投資判断の引き上げのあったアマゾンやバイドゥーも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安に反応、ほぼ全面高と言った状況で大幅高となりました。売られ過ぎの修正が続いていることに加え、先物から現物株にシフトする動きやETF(上場投資信託)組成に絡む動き、東京電力(9501)が売り気配となったことで、先物を売って東京電力以外の日経平均採用銘柄を買う動きなどもあったものと思われ、物色意欲が強いと言うことでもないのですが、目先の需給要因で大幅高となりました。

 米国株が引き続き堅調、為替も円安基調ということで日本市場は引き続き堅調な展開が期待されます。月末、期末と言うこともあり、「お化粧買い」なども期待されますが、原子力発電所の問題もまだ解決というところまでいかず、復興需要期待に一巡感が出れば上値も限定的となりそうです。大震災の影響で停滞した企業活動も工場の再稼動や道路などのインフラが整備されたことで、回復の兆しも見られ、売られ過ぎた銘柄の修正はまだ続くのでしょうが、売られ過ぎの修正が一巡となると上値も重くなるのでしょう。

 節目と見られた9500円〜600円水準を抜けかかって来ました。9500円〜600円水準での底固めが終わった形で、今度は9800円から900円といった次の節目を目指すことになるのでしょうが、原子力発電所の放射能漏れが懸念されるうちはまだ9500円〜600円水準での底堅さを確認するような場面もあるものと思います。本日も9800円に突っかけるような場面では上値も重くなるものと思います。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.