原発事故はいつ収束するのか?――東京電力・勝俣恒久会長が事故後初の会見(6/9 ページ)

» 2011年03月31日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

事故当時、会長は東電負担でマスコミOBと中国旅行に

――(日本インターネット新聞)「事故当時、勝俣会長はマスコミ幹部を引き連れて中国旅行に出かけていた」と与党の国会議員が言っています。この旅行代金は東電持ちだったのでしょうか?

勝俣 私たちも「当然のことながら」といいますか、自分たちの分、それから一部の負担ということはしていますが、全額東電負担ということではないです。

――(日本インターネット新聞)マスコミ幹部への旅費は、一部を東電さんが持ったということですね。

勝俣 私も詳細はちょっとよく分からないのですが、たぶん多めには出していると思います。自分たちの分よりも少しは増えていると思います。

――(日本インターネット新聞)今、マスコミと東電との癒着が国民の間で不信がられていますが、これは癒着をお認めになるわけですね。

勝俣 マスコミ幹部ということは若干違いまして。

――(日本インターネット新聞)それは編集委員ですか?

勝俣 みんなOBの方々の、どちらかというと研究会、勉強会の方々ということです。

――(日本インターネット新聞)じゃあ具体的に名前を明かしていただけますか。●●テレビの●●さんとか。

勝俣 これは私のプライベートに関わる問題なので、私から出すわけにはいきません。

――(日本インターネット新聞)これはプライベートではありません。マスコミは役所や公共施設で、広いところを記者室としてタダで入っているんです。税金も払わずにタダで入っているんです。これ、プライベートじゃないです。何人ぐらいでどのあたりですか。答えてくださいよ。

勝俣 それは私からは申し上げるわけにはいきません。

――(日本インターネット新聞)公共的責任を放棄しているんですか。

勝俣 その責任者の方によく確認して、どうするかという対応を考えさせていただきます。

――(日本インターネット新聞)じゃあいつ明らかにしていただけるんですか?

勝俣 2〜3日中に「ちょっとどういうことになっているのか。こういうお話があったけどどうか」ということで照会して……。

――(日本インターネット新聞)2〜3日中に隠蔽工作やるんじゃないですよね。

勝俣 いやあ、ちょっと私も全然よく分かっていないのですが、そこはちょっとよく調べて……。

――(日本インターネット新聞)そういう旅行があったから、「原発はクリーンでエコなエネルギー」という風にテレビがずっと国民にすりこんできたんですよ。それもお考えですか。

勝俣 いや、そういう風には全然思っていません。

――(日本インターネット新聞)「避難所に職員を出している」とおっしゃっていましたが、今注目を浴びている南相馬市には、東電から電話1つ来ていないそうです。もちろん職員も来ていないと。この事実関係はどうなのでしょうか。

勝俣 この辺は私も今、私たちとして南相馬市にどうしているのかちょっと把握していません。

――(日本インターネット新聞)把握していないのに、どうして職員を送っていると言えるんですか。うそをついているんですか?

勝俣 ほとんどのところに出して、今行っているということです。

――(日本インターネット新聞)この話は南相馬市の市長から聞いたと国会議員が言っていたのですが、その国会議員がうそをついているのですか?

勝俣 うそをついているかどうかは、それは知らなかったということもあります。誤解ということもありますし、いろんな表現はありますし。

広報 市長さんとお話して、行っているという風なことを今、確認をしているところです。

――(毎日新聞)(原発から放射性物質を含んだ蒸気を排出する)ベントのことで確認させてください。「菅総理が現場を視察するために、ベントが遅れたのではないか」という話が出ていますが事実は?

武藤 ベントについては、「早くするように」という指示をいただいて、現場でその後、準備にかかりました。しかし、電源がない中で中央操作室の照明もありませんでしたし、通常であればスイッチを動かせばできる操作ですが、これについては現場に行って操作する、あるいは電源をつなぎこむといった作業を、手作業でやる必要がありました。

 大変に悪い環境の中で、私たちとしては最善を尽くしたつもりで、結果として見ると、ベントを行うまでに少し時間を要したということで、ご指摘のような意見をいただいているということだと思います。経緯については、しっかりと検証する中で評価していくべきことだと思っています

――(朝日新聞)福島第1原発1、3、4号機で建屋の天井に穴を開けて水素を逃がすことは検討されたのでしょうか? なぜそれをしなかったのでしょうか。5、6号機では結構早い段階でやっておられましたが。

武藤 水素が建屋の中に出てくると、軽いので建屋の上の方にたまります。それが何らかの原因で爆発を起こして、1号機の建屋などを破損させたということだと思います。その経験を踏まえて、5、6号機については万が一そういうことになった時に水素が抜けるようにということで、建屋の上に穴を開けました。

――(朝日新聞)水素の発生については、専門家の方ならすぐに分かるような知識だと聞いているのですが。

武藤 水素爆発であろうということは私たちは早い段階で推定しましたが、天井に穴を開けるのにはそれなりの準備、普段やらない道具などが必要なので、できたところから実施したということです。

――(朝日新聞)福島第1原発3号機には間に合わなかったのですか?

武藤 結果としてそこまで手がつかなかったということです。

――(朝日新聞)清水社長から辞意は示されていますか。また、取締役会で清水社長の代わりを選任することは考えていますか?

勝俣 社長からの辞意は出ていません。取締役会でも、まだそういう議論はありません。

――(読売新聞)現在、プールと炉心に核燃料が残っています。先ほど燃料プールの燃料棒をどうするか少し触れられましたが、具体的にどうするのでしょうか。あそこは野ざらしになるわけなのでのけないといけないと思うのですが、施設が吹っ飛んで燃料を動かすクレーンはなくなっています。また、原子炉の中の燃料棒はどうされるのか。原子炉に入れたまま封じ込める方法があるとすれば、どういうことを検討しているのか。また、それにはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。

武藤 核燃料はご指摘の通り、燃料プールにあるものと原子炉の中に入っているものとがあります。燃料プールの方は水の中につかっているわけですが、ご指摘の通り、屋根がない部分もあります。「これをどういう形で取り出せるのか」ということについては、通常の燃料取り替え機、あるいは天井クレーンを使ったやり方は当然できないので、「それに変わる方法に何があるのか」と考えています。

 ただ、これは建物そのものの健全性や、どういう設備を設計して燃料を出していくのかというようなことで、いろんなことを検討しないといけないので、今はまだその概念について、いろんなアイデアを出し合いながら、検討を進めているところです。燃料プールは水が入ってさえいれば冷却できるので、時間はまだ少しあって、原子炉より冷やすということについての課題は小さいだろうと思っています。

 一方、原子炉については中にしっかり水を入れていかないと冷えないので、まずはここをしっかり冷やして安定した状態に持っていくことが先決だと思っています。その見通しについては、先ほどご説明した通り、今とにかく原子炉を冷やすことに全力を注ぎこんでいるので、いつまでというのはちょっと難しい状態です。

 例えば、燃料プールから燃料棒を出すといったようなことを何らかのやり方でやるとした時に、今より条件が悪くなることは考えにくいのではないかなと思います。具体的なやり方を決める時には、当然そういうことも評価した上で方法を選んでいくことになると思います。

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