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» 2011年03月31日 08時00分 UPDATE

原発事故はいつ収束するのか?――東京電力・勝俣恒久会長が事故後初の会見 (2/9)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

福島第1原発の1〜4号機は「廃炉にせざるをえない」

 会見後の質疑応答では会場の内外の記者から、さまざまな質問が投げかけられた。

ah_touden2.jpg 質問に答える勝俣恒久会長

――(日経新聞)今日、清水社長が出てこられなかったということですが、勝俣会長の役割は今までと、これからでどう変わっていくのでしょうか。また、清水社長の復帰はいつごろでしょうか。

勝俣 私は今、統合対策本部の毎日の会議にも出席しています。特に、清水社長が3月16〜21日の期間に不在だったということも踏まえて、海江田万里経済産業相を始め、時には官邸ともお話ししています。私自身としては、社長はそれほどかからずに戻ってきて指揮を執ると考えていますが、その間、私は今まで通りの役割を果たすということかと思います。

――(日経新聞)原発の復旧の見通しについて、長期化しつつあると思いますが、会長はどのように見ていますか。

勝俣 原発は正直、冷温に保つという最終冷却がまだできていない状況にあります。最近は少し安定してきてはいますが、やはりこの冷温冷却ができるようにならないと、安定が保てません。そのため、最大限そこに注力することが第一です。その次以降もさまざまな課題がありますが、こうした点については、どういうステップでどういくのか今後詰めたいです。

――(読売新聞)海水を注入した福島第1原発の1〜4号機を今後、廃炉にするという認識はありますか。

勝俣 これは非常に大きな問題ですが、1〜4号機の今の状況を客観的に見ると、「恐らく廃止せざるを得ない」と考えています。

――(読売新聞)耐震設計や津波の対応などでは、原子力安全・保安院の認可を受けている事業かと思いますが、改めてその中で、東京電力として今回の責任をどのように認識していますか。

勝俣 「今回の地震や津波がどういうものであったのか」「それに対してのこれまでの対応がどうであったか」ということを今後、事故調査委員会を設けて、着実にチェックしていきたいと考えています。

――(日経新聞)今回の事故が発生し、また事態収束が長引いています。この状況について、「政府や東電の対応のまずさからくる人災という側面があるのではないか」という指摘について、どう受け止めていますか?

勝俣 私自身はまずさというものは感じられませんでした。ただ、電気が消えていて、通信もできない状況の中で、現場がいろいろ作業しなければならなかったので、さまざまな作業が予定より長くかかりました。これまでは、言ってみればボタン1つ押せば動いたものが、現場に行って手動で動かさなくてはいけない状況となったため、「意図せざる遅れ」というものがあったと思います。

――(日経新聞)今後の完全な燃料棒の冷却に向けて最大のポイントとなるのは、今大量にたまっている放射能に汚染された水の排水処理だと思います。政府からはタンカーの使用も含めた案が出ているかと思います。東電は自前の船をもっていらっしゃると思いますが、政府から「タンカーに一時保管してください」という要望があった場合、受け入れられますか?

勝俣 今の段階で申し上げると、排水に寄与するということであれば、何でも活用していきたいです。ただ、タンカーをあそこ(福島第1原発)につけることが今は難しいといったこともあるので、そうした条件も考えながら、いいものは積極的に取り入れていくつもりです。

――(週刊ダイヤモンド)「誠意を持って、補償に向けた準備をしている」と発言されましたが、今回の事故の補償では剰余金や株主資本まで吐き出す覚悟はありますか。また、被害総額の計算ができていれば、どのくらいか教えてください。

勝俣 これまで2週間くらい毎日毎日いろんなことが起こって、それを一応克服して、多少安定してきたのがこの1週間くらいです。そして今、最終冷却をするなど、より積極的な安定を求めるための、高放射線レベルの排水の処理や、投入した塩水の処理といった課題があります。そうした状況の中、水質への影響やそういうこと(被害総額)を考える余裕はないのですが、大変厳しい状況になると考えています。

――(しんぶん赤旗)今回の事故は津波で原発の冷却機能が失われてしまったことが原因で、「津波対策をなぜ行わなかったのか」が中心問題だと思います。東電は「今回の津波を想定外」とされていますが、この危険性は指摘されていました。例えば、国会では2006年に共産党の吉井英勝衆議院議員が「津波で設備などが水没すれば、冷却機能が失われてしまう恐れがある。そうなったら炉心溶融などの過酷事故に至る」と質問していたんです。勝俣会長ご自身が社長だった時、2007年には原発の安全性を求める福島県連絡会や共産党の福島県議団が同じように、「津波によって冷却材が喪失するようなことになれば、炉心溶融などの過酷事故に至る」と指摘していました。ですから、想定外という言いわけは通用しないと思うのですが、なぜこういう津波を想定した対策を怠ったのでしょうか。津波対策を怠ったことの責任をお認めになるのでしょうか。

勝俣 これまで地震、津波については、過去に発生した最大限のものを設計基準に入れて、それへの対応をはかってきたつもりです。しかし、今回こういう事態が到来したことは、真摯(しんし)に受け止めて、「どうしてこうなったか」を含めて今後、十分に調査、分析をしていきたい。

――(しんぶん赤旗)津波を想定していたかったことに責任を感じていますか?

勝俣 こうした事態になったことは、本当に大変申しわけなく、真摯に受け止めるつもりです。

――(朝日新聞)「福島第1原発1〜4号機は廃炉」という考えを示されましたが、それ以外の福島第1原発の5、6号機、また福島第2原発については現時点でどうお考えですか。

勝俣 もう少し総点検してみないと、どういう状況かは明らかではないですが、「基本的な機能は維持している」と考えています。しかし今回、社会的に大変なご心配、ご迷惑をおかけしている状況の中でどう対応するかは、国と立地地域のみなさまのご意見をうかがいながらのことになると思います。

――(朝日新聞)同じ太平洋側の原発でも東北電力の女川原発や、日本原燃の東海事業所は、今回甚大な被害は免れています。東電に何か欠けていたことがあったのではないでしょうか。

勝俣 これは私も正直あまり分からないのですが、どちらかというと「下(南)にいくほど津波も小さかったのではないか」と考えていますが、こうした点も今後よく検討して明らかにしたいと考えています。

――(朝日新聞)先ほど損害賠償については原子力損害賠償制度に基づいてという考えを示されましたが、東電が負担しきれない分については国が支援するという制度になっていて、非常に大きな天災である場合は免責されるという規定もあるかと思います。損害賠償は東電だけで負うのか、それとも国の支援を求めるのか。

勝俣 原子力損害賠償法は、免責についてのスキームもはっきりしていない法律です。従って、政府がどういった具体的な法律を制定するかによるところが大きいと考えています。

――(朝日新聞)現在稼働中の柏崎刈羽原発については、想定される地震に対する対策はもちろんとられていると思いますが、今回のように想定外の地震が起きた時に絶対に安全だと言い切れるのでしょうか?

勝俣 柏崎も津波に対して余裕のある設計になっていますが、本日、原子力安全・保安院からいろいろなチェック事項が出されました。例えば、電源車をしっかりするとか、冷却ポンプの対応をはかるといったことが出ているので、こうした点をチェックして足りないところは充足させることが大事だと考えています。

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