日本のデザインが逆輸入されたマリメッコのフィンランド店(2/2 ページ)

» 2011年03月29日 14時45分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム
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 新しい、Marikulma店も基本的な考え方は同じだという。Kamp Galleriaはヘルシンキ駅からほど近くにある巨大ショッピングモールで、その中でもマリメッコは大きなスペースを占める。ショップの面積は1階242平方メートル、2階382平方メートル、フィンランド国内最大級の店舗である。

 「マリメッコというブランドを世界にアピールしていくために、最初はフィンランドらしさを強調しては(いわゆるアルヴァ・アアルトのフラワーベースのような曲線など)どうかという検討もしましたが、日本で展開しているような直線的なものの中にマリメッコのやわらかな生地や商品を大胆に見せて対比させるデザインになりました」(小林マナ氏)

 「基本的には自分たちが普段からやっている店作りの考え方にのっとって作っているんですが、今回先方からいわれたのは、とにかく『マリメッコの原点であるファブリックを見せたい』ということと、『marimekko experience』というコンセプトですね」

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 1階はファッションとバッグ、ファブリックの空間。マリメッコはファブリックから始まった。そのファブリックからプロダクトが生まれていること想像してもらうために「ファブリックボックス」と呼ばれる棚を1階に設置。色とりどりのファブリックを一覧できるギャラリーがあり、外を行き交う人たちからも見えるよう配慮されている。その場でファブリックをカットして買うこともできるようになっている。

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 ファッションの棚もボックス形式になっており、箱の中を出たり入ったりして洋服を眺めるような空間作りがされている。

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 2階は、ファッション、ステーショナリー、バスグッズ、ベッドリネンなど。そして、Tasaraita(タサライタ)というボーダーのシリーズが揃う空間などが個別に作られている。

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 「非常に大きな空間だったので、ゾーン作りはいつも以上に意識しました。1つのブランドのお店なんだけれど売り場で雰囲気が変わる。また、マリメッコはテキスタイルの柄が命なので、できる限りインテリアには色は使わず、白やスチール、ナチュラルな色を配色しています」

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 空間を歩いているだけで、いろんなマリメッコに出合えるKamp Galleriaのマリメッコ。今後はワークショップスペースなどもオープンし、さらなる「marimekko experience」ができる予定だ。ヘルシンキに行くときには、ぜひ訪ねてほしい場所である。

 マリメッコは今年で創業60年を迎える。古き良き時代に興隆したブランドがいまも変わらず愛されているのは、古びないデザインやものづくりの精神も確かにあると思う。しかし、時代に合わせ「フラットな視点」でブランドの価値を読み取り、適切に顧客にプレゼンテーションしていくimaのような客観的な視点と、それを柔軟に受け入れる本国の体制が非常にうまくマッチしたからではないだろうか。今年は60周年のイベントも多く何かと話題のマリメッコ、要注目である。

Marimekko Marikulma店

Kamp Galleria, Il krs Kluuvikatu 4, 00100 Helsinki


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