不透明感が強くじり安の展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年03月28日 17時20分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は週末も堅調となりましたが、週明けの日本市場は冴えない展開となりました。大震災後の売られ過ぎの修正が一巡となったことなどから手仕舞い売りも出ているようです。外国人は引き続き大幅買い越しと伝えられたのですが、積極的に買い上がるような動きも、物色対象を絞って買い上がる動きもなく、総じて軟調となりました。大震災の企業業績に対する影響がまだ読みきれないことや計画停電や原子力発電所事故の問題も尾を引き、買戻しが一巡となったことで手仕舞い売りに押されました。

 3月期末なのですが、大震災の影響もあり配当がどうなるかも不安なこともあり、いったん売りが優勢になると我先にと売り急ぐような動きも見られました。先週の戻り相場も売られ過ぎの修正ということに過ぎず、先が見えることで買い直すということでもなかったので、節目と見られる9500円〜600円水準での上値の重さも確認されて売られたと言うことなのでしょう。為替は円安となったのですが、「日本売り」と言うことで円安となったとの判断であり、大震災の影響もあり、素直に「円安メリット」とは受け取れないのだと思います。

 為替も株式も値段が動く要因を冷静に考えて見ると言うことも大切なのではないかと思います。業績の見通しはどうか、金利はどうなるのか、米国景気はどうなのか、などこの大震災後の乱高下を見て、もう一度考えて見ると良いのではないかと思います。常に株価(為替も)は「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」「適正」というどこかの水準にいるわけで、超短期的に見て「買われ過ぎ」とか「売られ過ぎ」と判断するよりは中期的に見て「安いところ」なのか「高いところ」なのかをしっかりと見ても良いのではないかと思います。

 日経平均の9500円という水準でも例えば過去3カ月を見た場合には決して高いところではありません。この水準が売られ過ぎなのか、売られ過ぎから「反発しすぎた」ところなのかを考えて見ると、大震災の被害拡大懸念は薄らいでいるものの、復興までの時間や原子力発電所事故の解決が見えないところでは決して売られ過ぎたといえないということなのでしょう。売られ過ぎから「外国人が買っている」と言うだけで買いあがった部分は「買われ過ぎ」と言うことになるのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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