コラム
» 2011年03月22日 11時20分 UPDATE

松田雅央の時事日想:「原発事故」報道を検証する――海外と日本ではこれほど違う (1/4)

この1週間、海外メディアも福島第1原発の状況を詳細に報道している。海外の状況評価は極めて厳しく、国内の危機意識との間に大きなギャップがある。海外メディアは日本の情報開示をどう評価し、現状をどうとらえているのだろうか。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 この1週間、海外メディアも福島第1原発の状況を詳細に報道している。

 原発事故に関して、いわゆる「いいニュース」が流れたのは、やっと18日(金曜日)になってから。3号機の使用済み燃料プールへの放水が始まり、ドイツのニュースチャンネル「N24」は「希望が見えてきた」と報じた。

 しかしながら海外の状況評価は一般的に極めて厳しく、国内の危機意識との間に大きなギャップがある。ここでは、緊張の緩まない状態の中でドイツをはじめとする海外メディアが日本の情報開示をどう評価し、現状をどうとらえているかレポートする。

yd_matuda1.jpg 3月19日付の地方紙「フランクフルター・ルントシャウ(Frankfurter Rundschau)の見出しは「致命的な弱点」。震源・原発・主要都市を地図でまとめている

10分後には世界で報道

 ニュースが世界に伝わる速さには、ただただ驚かされる。重大ニュースの映像ならば、テレビ局間の国際協力により30分もあれば世界中へ伝わる。今回の原発事故のように、受け手側テレビ局が翻訳と放送の準備を常時整えていれば、おそらく10分ほどのタイムラグで世界中が知ることができる。

 N24が報じた最新ニュース(日本時間3月22日未明)は「3号機から灰色の煙が上がり作業員退避」。ここ2〜3日、多少状況が落ち着いていたこともありドイツメディアは危機感にゆり戻されたようだ。

 東京に残り取材を続けるN24のレポーターもこのニュースを報じたが、気になったのは2分間の短いレポートの中に「原因について東京電力(東電)は沈黙している」という言葉が2回も出てきたこと。このコメントには東電への不信感が強くにじみ出ている。

 彼が指摘した原因の可能性は「水素爆発」「(発表されてはいないが)圧力容器の圧を抜いた影響」「燃料プール周辺の可燃物の燃焼」など。こうした原因について東電側からの発表がないことに、彼らはいら立ちを感じているのだ。

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