リビア問題も一歩進み、M&Aに関する話題もあって大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月22日 08時56分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>9206.75△244.08

<TOPIX>830.39△19.59

<NYダウ>12036.53△178.01

<NASDAQ>2692.09△48.42

<NY為替>81.02△2.15

日本の原子力発電所事故が一息ついたことやリビア問題も一歩進み、M&Aに関する話題もあって大幅高

 日本の原子力発電所事故の拡大懸念が薄れたことやリビアの空爆で停戦期待が強まったことなどから買い先行となりました。売られすぎの修正もあり、堅調な地合いとなりました。足元の景況感が良いなかで懸念材料が一段落となったことに加え、M&A(合併・買収)に絡む話題や原油高を好感する動き、リスク許容度の回復も見られ、買戻しを急ぐ動きもあって大幅高となりました。為替も協調介入の効果から落ち着きが見られたことも売られ過ぎの修正につながったものと思います。

 中東情勢は依然として解決が見られず、泥沼化の懸念もあり、日本の原子力発電所事故の問題も解決となったわけではなく、株式市場もまだ予断を許さず、ここから一気に強気転換と言うことでもないと思います。ただ、売られすぎた分の修正は続きそうで、底堅さは見られるものと思います。今後は日本の復興需要などに期待する動きと経済的な影響を吟味しながらの展開となり、一方で中東情勢や原油価格動向などに振らされる場面も出て来るのだと思います。

 個別には朝方発表した四半期決算が予想を上回ったティファニーが高く、日本のアドバンテストが買収することで基本合意したベリジーが大幅高となりました。原油価格が堅調となったことから、エクソン・モービルやシェブロンは高く、売られ過ぎの修正の中で景気敏感銘柄が買われ、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコア、アップル、インテルやIBMなど総じて堅調となりました。金融株はまちまちとなり、バンク・オブ・アメリカは小幅高、JPモルガン・チェースは軟調となりました。株式併合と復配を発表したシティグループは軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株高や為替の協調介入決定などを好感して大幅高となりました。外国人も大幅買い越しと伝えられ、買戻しを急ぐ動きとなったことで、指数を押し上げた面もあるものと思います。腰の据わった積極的な買いということでもないのでしょうが、期末を意識した買戻し、3連休を控えた週末ということで目先筋の買戻しも入り大きな上昇となったものと思います。ただ、円安に振れたとは言え、まだまだ水準としては円高水準であり、輸出株の一角が冴えない動きとなり、内需株は売られすぎの修正で買われるものも見られるなどちぐはぐな展開となりました。

 何ひとつ片付いたということではないのですが、米国株が大幅高となったことや為替も比較的落ち着いた動きとなっていることから堅調な展開が期待されます。大震災や原子力発電所事故の懸念から信用収縮的なリスク許容度の低下が見られ、売り急ぐ場面もありましたが、徐々に落ち着きを取り戻したことで、売られすぎ銘柄の修正は見られるものと思います。直接震災の被害から生産の落ち込みなどが見られる企業は戻りも限られてしまうのでしょうし、間接的な影響などを含めるとまだ売られ過ぎの修正と言う段階に過ぎないと思われます。米投資週刊誌が大震災後の日本株は売られすぎ、として日本を代表する銘柄を買い推奨しました。日本経済は今年は減速するものの、来年には復興需要などで健全な成長に戻るとしています。予想PER(株価収益率)などの投資指標で見て「金融危機後で日本株は最も割安」としており、買い推奨した銘柄は以下の12銘柄、ソニー(6758)、キヤノン(7751)、トヨタ(7203)、日産自(7201)、資生堂(4911)、KDDI(9433)、NTT(9432)、三菱商事(8058)、住友商事(8053)、伊藤忠(8001)、JFE(5411)、新日鉄(5401)。これだけではないと思いますが、こうした大型優良銘柄の反発は期待できそうです。尚、同誌では原子力発電事故に関わる、東京電力(9501)と日立(6501)に関しては「時期尚早」としています。

 復興需要に対する期待もあるのでしょうが、まだその段階と言うところまではいかず、日経平均は先週火曜日の大きな陰線の中での動きが続くものと思います。節目と見られる水準は9500円〜600円水準であり、その水準を抜けて来るような展開になれば底値固めとなって10000円台回復となりそうです。下値は当面は8500円〜600円水準と見られ、原子力発電所事故の拡大が見られればこの水準を割り込んで8000円水準まで下落となるのでしょう。

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