米国株高や為替の協調介入受け、3連休前の買戻しも入って大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年03月18日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株高や円売り強調介入が決定されたことが好感されて大幅高となりました。大きく円安に振れるというよりは円高が止まったという感じですが、原子力発電所の問題が悪化することもなかったことで買い優勢となりました。3連休を控えた週末ということでしたが、外国人が連日の大幅買い越しと伝えられたことも買戻しを急ぐ動きにつながり、指数を押し上げたものと思います。

 為替の協調介入が決定され、実際に介入もあったことで、円安となりましたが、あくまでも「昨日に比べて円安」という水準であり、1週間前と比べるとまだ円高という水準です。本来であれば、未曾有の大地震の影響、強烈な金融緩和の効果を考えるともっと円安となっても良いところです。しかも、今回のG7電話会合がフランスあたりから話が出てきたことを考えると非常に穿った見方ではありますが、一概に「協調介入をまとめた」と政治家が成果を強調するのはどうかと思います。

 どこまで円安に持っていくのかはわかりませんが、逆に考えれば、海外資産売却からの資金引き上げでの円高はないと言っているのですが、これからはそういった円買いが入るから、介入をすると言う意味にもとれます。原子力発電問題から自国民を引き上げさせているなかでの協調介入ということは自国の円資産を売るため、という見方も出来そうですし、外国人買いが大量に見られるなかでの介入というのも出来すぎているような気がします。また、欧州でインフレ懸念が強まるなかではいつまでもユーロ安政策をとるわけにもいかないと言うこともあるのでしょう。

 外国人の大量買いもこれまで空売りをしていた日本株を期末要因で買い戻すと言う動きなのでしょうし、「円キャリー取引」の解消(巻き戻し)をするために円買いを進める必要があるために円売り介入をすると言う意味にもとれます。期末要因で日本の輸出企業の実需の円転も多いのでしょうし、大震災での損失の穴埋めで海外の資金を充てるという可能性もありそうです。やはり、協調介入をする目的は円安にする、ということではなく、円買い要因があまりに多く、このままほっておくとどこまでも円高になってしまうから、と言うことなのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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