“売れる営業マン”にはワケがある売り込まず、お客をファンにする方法(2/3 ページ)

» 2011年04月06日 08時00分 公開
[安東邦彦(ブレインマークス),Business Media 誠]

 第1回2回のコラムでも紹介してきましたが、今の時代は、売り手ではなく、顧客が主導権をもつ時代です。営業スキルを高め、トーク力を磨いて、その気にさせて商品を売る営業マンを顧客は求めていません。

 顧客が本当に探しているのは、今抱えているニーズや課題を解決してくれる専門家なのです。

 売れる営業は常に「お客さまが感じる価値をどのようにして高めていくか?」について工夫しているのです。その一方で「そんな都合のいい話があるのか?」と感じる人もいると思うので、身近な例をご紹介しましょう。

売れる理由は「強みづくりへの工夫」

 先日、タクシーに乗ったときに「営業成績の良い運転手さんと悪い運転手さんの違いって何ですか?」と尋ねてみました。すると「強みをもっているかどうか、ではないでしょうか?」と言っていました。さらに詳しく聞いたことをまとめてみました。

成績が良い運転手 強みをもっていて、自分なりの工夫を重ねている(例:ゴルフ場へ行く上顧客/法人顧客の穴場スポット)。
成績が普通の運転手 真面目で熱心に頑張っている。他の運転手と同じことをしているので、ライバルも多く、それほど業績を伸ばしていない。
成績が悪い運転手 サボることも多く、特に努力することもなく、いつも一発逆転の長距離を狙っている。

 ちなみにその運転手さんの強みは、「タクシーを利用してゴルフ場に行く“上顧客”を数多く抱えていること」。以前、ゴルフの練習場まで乗車した顧客に話を聞いてみたところ、「ゴルフ場までのルートや所要時間を考えることが面倒で、困っている」という話が出た。そこで「自分もゴルフ好きであること。事前にラウンドする日とスタート時間が分かれば、ゴルフ場までのルートを調べて、お迎えにあがること」を提案してみたそうです。

 それからは、ゴルフコースに行くたびに利用してもらえるようになったとか。そしてゴルフ仲間にも宣伝してくれて、利用者が口コミで増え、成績は常に高い位置をキープしているそうです。

 この運転手さんの話を聞きながら、タクシーというサービスに特徴があるのではなく、「顧客の立場によって、商品・サービスに対して感じる価値が違う」ことを改めて感じました。

成績が良い運転手とは(写真と本文は関係ありません)

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