コラム
» 2011年03月17日 10時56分 UPDATE

藤田正美の時事日想・特別編:原発事故! すべての責任は“東電だけ”にあるのか (1/3)

東日本大地震の影響を受け、福島第一原子力発電所での事故が深刻化している。東京電力の対応の遅れ、情報の遅れなどが指摘されているが、この深刻な事態をいち企業だけに任せていいのだろうか。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 日本を襲った史上最悪の地震と大津波。実際の政治ではアップアップだった菅政権は、日本の危機に直面して何とか態勢を立て直したかに見えた。

 政治家にとって目標はハッキリしている。一刻も早く被災地を救援することだ。行方不明者の捜索、避難所の設定、情報網の確立、国民への正確かつ迅速な広報。また国の自衛隊、警察、消防といった組織をどう動かしていくか、物資の輸送をどうするか、という初動こそまずまずだったように見えたが、時間がたつにつれ、ほころびが目立つようになった。その1つは何と言っても東京電力の福島原子力発電所である。

後手後手に回った

 大津波によって非常用の冷却に必要な電源装置がやられ、自動的に運転を停止した第一原発の1号機、2号機、3号機が安全に冷温停止状態にならないというところから問題が始まった。その後の展開を見ていると、東電、原子力安全・保安院、そして内閣と情報の伝わり方が遅い。そのためあいまいな言い方が増え、「健康に直接被害を与えるような水準ではない」と繰り返すばかり。これでは疑い深い記者はもとより、テレビで直接会見を聞いている国民も納得させることはできない。

 枝野官房長官は理解力が高いせいか、途中から何とか態勢を立て直してきたが、その分、東電からの情報の上がり方が遅いことに明らかに苛立ってきたように見えた。こうした状況の中でまったく役に立っているように見えないのが、専門家であるはずの原子力安全・保安院である。「万が一の事態に的確に対応する」という保安院の言葉が虚ろに響く。東電から上がってくる情報を右から左に流すだけだから、突っ込んだ質問をされると「確認できていない」と繰り返すだけだ。

 炉心の冷却がうまくいかないと言われていた時点で、ネット上では「使用済み燃料貯蔵プールの水温が上がっている。対策が必要」という情報が流れていた。非常用電源が働いていないということは、貯蔵プールの水も循環できず、時間がたてば問題になるという指摘である。そして地震発生後4日目の15日に、4号機で火災が発生する。さらに16日には3号機でもプールの水が抜けてしまったようだということになり、自衛隊への出動命令が出るなど、後手後手に回った印象は否めない。

yd_fukusima.jpg 福島第一原発(出典:東京電力)
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