原発問題を嫌気してリスク回避の動きが続き大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月17日 08時40分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>9093.72△488.57

<TOPIX>817.63△50.90

<NYダウ>11613.30▼242.12

<NASDAQ>2616.82▼50.51

<NY為替>79.37▼1.36

経済指標の悪化や「制御不能」な原発問題を嫌気してリスク回避の動きが続き大幅下落

 朝方発表された住宅着工件数が予想を大きく下回ったことや日本の原子力発電所の事故が「制御不能」と伝えられたことから世界的な景気回復鈍化懸念が強まり、売り先行となりました。加えて、米大使館や英大使館が日本にいる自国民に東京など東日本から退去するように勧告するなど各国政府が対応したこともあってリスク回避の動きが強まったことも売り急がせる要因となりました。円キャリー取引解消の動きや海外資産売却懸念から大きく円高がすすんだことも、世界景気の鈍化懸念となったものと思います。

 欧米では日本以上に原発問題に神経質になっているものと思われます。大震災だけであれば日本での復興需要も期待できるのでしょうが、原発の問題が大きく景気回復への時間を遅らせるとの懸念が強まっているのだと思います。原油や金の先物価格が堅調となったように信用収縮の動きは限定的であり、世界的な資金の逆スパイラルに陥っているのでもないことがせめてもの救いと言うことでしょう。

 個別には世界的な景気回復鈍化懸念からハイテク銘柄など景気敏感株が軟調、特に投資判断の引き下げのあったIBMやアップルは大幅安となりました。住宅着工件数が大幅に減少したことから、ホブナニアンが大幅下落、レナーやKBホームも売られました。日本の大震災の保険や再保険を含む1−3月期の損益見通しを発表したエースは小幅高となりました。原油や金の先物が高かったのですが、エクソン・モービルやシェブロンなどの石油株、パブリック・ゴールドなどの金鉱株も軟調、GE(ゼネラル・エレクトリック)は原発関連ということもあって大幅安、フォード・モーターも大幅安となるなど景気敏感銘柄は大きく売られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は原子力発電所問題の残るなかで前日までの大幅下落の反動から大幅反発となりました。特にどの業種が買われるということでもなく、売られたから買われるというように売られすぎの修正に過ぎないのでしょうが、指数は大幅高となりました。外国人も買い越しと伝えられ、システム売買などが中心なのでしょうが大きな戻りも鈍いながらも大幅だかとなりました。震災の影響や原子力発電問題などが解決しているわけでもなく、まだ腰の据わった買いも少なく目先筋の売り買いに振らされているということなのでしょう。

 米国株が大幅下落、為替も最高値一気に抜けて強烈な円高となったことから再び下値を試す展開となって来るものと思われます。為替は協調介入期待もあり、徐々に落ち着きを取り戻してくるのでしょうが、原子力発電所の問題が一向に終息せず、事態はさらに悪化していることからリスク回避、信用収縮の動きは続くものと思われます。既に大きく売られていることから売り手控えられる場面もあるのかもしれませんが、昨日の戻り相場で買い戻し一巡となっていたのであれば、改めて売り直されることになりそうです。

 ディフェンシブ銘柄とされる電力株が下落の要因であるだけに、他の電力株などを含めて、円高メリットのあるものでどこまで下支えとなるのかどうかといったところでしょう。復興対策予算に目処がつき、協調介入が行われ、原発の放射能拡散懸念がなくなれば、相場は売られすぎたものから反転してくるのでしょうが、それまでは8000円台での底堅さを確認するように下値を探る展開が続くのでしょう。

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