放射線漏れにどう対処すれば? 東大・早野教授がコメント

» 2011年03月14日 13時07分 公開
[Business Media 誠]

 東北地方太平洋沖地震で緊急停止した東京電力福島第1原発の今後が懸念され、デマ情報も飛び交っている。そんな中、東京大学理学系研究科の早野龍五教授(@hayano)が、Twitter上で寄せられた質問に回答。その内容をサイエンス・メディア・センターがまとめて公開している。

 →原発に関するQ&Aまとめ

政府の避難指示が目安、外気に触れないこと

 それによると、被ばくについては「原発の近くに行かないことが第一です。政府の避難指示20キロが目安です。そして外気に触れないことです」。

 放射線が漏れ出した場合の影響範囲については、「漏れた放射性同位元素量と天気(特に風)がわからないと、予測困難です。今回同様格納容器が無事だったスリーマイル島(参照リンク)の場合は,10マイル(16キロ)より遠いところには影響が及ばなかったとされています」とコメント。

 東京電力の福島第一原発から仙台までの距離は90キロ、東京までの距離は220キロ、大阪までの距離は580キロほど。「東京在住の人は、肌を露出しての外出は控えるべきでしょうか?」との質問には、「その必要はありません。20キロという政府の避難指示は妥当です。被ばくは風で運ばれる放射性物質によって引き起こされ、遠くなればなるほど放射能は薄まるので、東京にいる方が心配することはありません」と回答している。

放射線漏れの規模は

 原子力教育を考える会Webサイトでも、原子力防災についての注意を書いている。

 →原子力防災について(原子力教育を考える会)

 それによると、政府や東京電力が原発付近での放射線量について報告しているが、原子力施設から県や市に異常が起きたと通報する義務が生じるのは通常の約100倍の毎時5マイクロシーベルト。平常時の1万倍の毎時500マイクロシーベルトになった時に緊急事態宣言が出され、原子力災害現地対策本部がオフサイトセンター内に設置される(すでに設置済み)。福島第一原子力発電所付近の放射線量については政府が定期的に公開している(参照リンク)

 原子力施設に事故が起きた場合、さまざまな放射性物質が施設から放出される。その1つである放射性ヨウ素は甲状腺がんの原因になるおそれがある。これに対し、前もってヨウ素剤を飲んでおけば、放射性ヨウ素が甲状腺に集まることを防ぎ、尿や便から排出されて、発がんの危険性(リスク)を低くできる。

 ヨウ素剤は事故の規模などから計算して、甲状腺の被ばく線量が100ミリシーベルト※を超えると予測されたときに避難所などで配られるという。

※お詫びと訂正(3月18日17時38分)……初出では100マイクロシーベルとしていましたが、100ミリシーベルトの誤りでした。訂正してお詫びいたします。


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