コラム
» 2011年03月14日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:“石油ショック2011”、あるかもしれない (1/2)

リビア情勢が混迷するにつれ、原油相場が上昇基調にある。リビアの石油産出量は世界需要の2%にすぎないが、このままでは「石油ショックが起きるかもしれない」という懸念が残る。こうした不安の背景には、どういった問題が隠されているのだろうか。

[藤田正美,Business Media 誠]

 リビア情勢が混沌(こんとん)とするにつれ、原油相場への上昇圧力が強まっている。リビアはOPEC(石油輸出国機構)の一員で、産出量は日量140万バレルと13位、世界の石油需要の約2%を賄っている。しかし反カダフィ勢力と政府側の戦闘が激しくなって、油田や精油所で働く外国人労働者はほとんど逃げ出してしまった。生産や原油の積み出しがほぼストップしているため、相場上昇へマグマが溜まり続けている。

原油の増産が止まらない

 過去、何度か石油ショックがあった。1973年にはアラブ産油国がイスラエルを支持する国に対して石油の禁輸を実行した(第一次石油ショック)。ガソリンスタンドに長蛇の車列ができ、トイレットペーパーの買い付け騒ぎがあった。そして1978年から1979年にかけてイラン革命が起こる。パーレビー王朝が倒され、イスラム共和国が成立する。大産油国のイランの生産が停止したため、原油価格が急騰した。

 エコノミスト最新号(3月5日号)が「石油ショック特集」(The 2011 oil shock)をしている(参照リンク)。カバーワードは「まさに世界経済が回復している時に」。タイミングがいかにも悪いということだ。

 問題は、リビアの石油が止まって、サウジアラビアは増産を示唆しているものの中期的にそれで補えるのかということにある。2008年にも原油相場が急騰し、ニューヨークでは指標であるWTI原油が1バレル145ドルまで上昇したことがある。この時もサウジアラビアが増産した。850万バレル生産しているところに250万バレルも増やした。

yd_chart1.jpg WTI原油先物(日足チャート、出典:Chart park)

 現在も同じ状況であるが、ただ違うところもある。まず第一に増産余力があるところがそれほど多くないということ。OPEC(石油輸出国機構)で日量600万バレル(アナリストは400万から500万バレルと見ている)。そのうちサウジアラビアは300万から350万バレルだという。第二に、需要側を見ると、2010年には世界の需要は270万バレル伸びた。そして今年も150万バレル増えるとIEA(国際エネルギー機関)は言う。

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