地震があって大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年03月11日 18時04分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大きく下落したこともあって、一時連日の大幅下落となる場面もあり、最後まで戻り切らずに軟調となりました。売り急がなければならない理由もそれほど強いものがあったわけでもないのですが、持高調整の売りが嵩むなかで、何でもかんでも売り材料とされた格好です。昨日までは原油価格の上昇を「インフレ懸念」として売り材料視していたものが、本日は逆に原油価格が下落したことを「景気回復鈍化懸念」として売り材料視しているような状況です。最後は大きな地震があったことで一斉に持ち高をはずす、ヘッジ売りを出す動きで大きな下落となりました。

 原油価格が高くても安くてもどちらにしても売り材料となり、中国の経済指標も弱ければ弱いで景気拡大鈍化懸念、強ければ強いでインフレ懸念からの景気拡大鈍化懸念として売り材料となっているような感じです。つまり、先日来述べているように季節的な要因で持高調整が進んでいるということなのだと思います。また、為替にあまり動きが見られず、「円キャリー取引」解消の動きなど、過激な動きではないと言えるのではないかと思います。

 上がるにしても下がるにしても特に材料がないなかでの動きであり、決算月ということや先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出に絡んでの持高調整、来週の日銀金融政策決定会合や米FOMC(公開市場委員会)を控えての手仕舞い売りなどが嵩んでいるだけで、一部で言われているような景気回復鈍化、中国など新興国の景気拡大鈍化などが懸念されていると言うことではないと思います。

 個別の銘柄の動きを見ても業種でどこかが売られているとか買われているということもなく、散発的に買われているものも特に材料が出たということではなく、単純に買戻しが入っているだけ、ということで、持高調整の売り買いが一段落となってくれば、原油価格が上がろうが下がろうが底入れを確認して戻りを試す展開となるものと思われます。売られ過ぎた銘柄から買い戻しを交えて切り返してくるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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