芳しくない経済指標など悪材料が多く大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月11日 08時39分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10434.38▼155.12

<TOPIX>930.84▼13.45

<NYダウ>11984.61▼228.48

<NASDAQ>2701.02▼50.70

<NY為替>82.97△0.23

芳しくない経済指標など悪材料が多く大幅下落

 懸念される材料が重なり、信用収縮の動きが一気に進んでさらに悪材料に敏感に反応し、大幅下落となりました。悪いときには悪いことが重なるもので、スペイン国債が格下げされたことで欧州での金融不安が強まるなかで、朝方発表された貿易収支で対中国を中心に赤字が拡大、新規失業保険申請件数が予想を上回ったこと、また、中国でも貿易収支が赤字となったことに加えさらにサウジアラビアでの衝突なども伝えられて世界的な景気拡大に対する懸念、信用収縮懸念が強まり、大幅安となりました。

 中東の騒乱から始まり、原油価格の高騰が景気拡大を鈍化させ、景気回復鈍化懸念から金融不安が強まり、信用収縮の動きとなって原油価格なども下落、そして原油価格などが下落するからさらにリスク資産からの資金が流出するというような悪循環となったものと思います。ただ、資金の持って行き所がないのか、為替は比較的落ち着いており、これ以上信用収縮懸念が強まらず、資金の回転が復活すれば、ここからは底堅さも見られると思います。

 個別には総じて軟調、ほぼ全面安となるなかで、業務提携を発表したスターバックスとグリーンマウンテン・コーヒー・ロースターズが大幅高となりました。主力銘柄ではかろうじてウォルマートが小幅高となりましたが、キャタピラーやアルコアが大幅安、GE(ゼネラル・エレクトリック)やIBMが軟調と景気敏感株には下げのきついものも多く、原油価格が大きく下落となったことでエクソン・モービルなど石油株も大幅安となりました。信用収縮から商品相場も下落となり、モンサントが大幅安、欧州金融不安からJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や商品相場が下落、欧州金融不安からの信用収縮の動きに持高調整の売りが嵩んで大幅下落となりました。外国人は買い越し基調と伝えられたのですが、中国の貿易収支が赤字に転じたことなど売り材料も多く、先物・オプションSQ(特別清算指数)算出控えて買い手控え気分も強く、大きな下げとなりました。売り材料も多かったことは多かったのですが、むきになって売り叩くというよりは手仕舞い売り、持高調整の売りが嵩んだことで大きな下げとなりました。

 米国市場が大幅下落となったことから下値を試す展開となりそうです。先物・オプションSQ(特別清算指数)算出日ということで寄り付きの売り買いが終わった後の動きが問題となって来るのですが、昨日も先んじて大幅下落となっていることもあり、底堅さも見られるのではないかと思います。海外市場ではそれほど円高が進んだということでもなく「円キャリー取引」の解消が進んでいるわけでもないのですが、日本市場で円高が進むようであれば大きく下落となってしまいそうです。

 日経平均の10500円〜600円水準での底値固めが期待されましたが、割り込んでしまいそうです。それでもまだ、目先的な需給要因での下落という側面が強く、10400円を割り込んだ10300円台では底堅さも見られると思います。中国の景気鈍化懸念からの下落と言うことで、中国の経済指標などに反応することになりそうで、さらに信用収縮的な動きとなれば、円キャリー取引の解消のような動きがあれば、10200円前後まで下落となるのでしょう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.