丸投げ質問は禁止すべき――京大カンニング問題から考えたこと(2/3 ページ)

» 2011年03月11日 08時00分 公開
[寺西隆行,INSIGHT NOW!]
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丸投げ質問は禁止するべき

 ものすごく久々に、Yahoo!知恵袋の「数学」のコーナー(参照リンク)を見たのですが……、情けないくらい、丸投げ質問ばかり。本当にこのあり方がいいと思いますか? みなさん。

Yahoo!知恵袋の「数学」のコーナー

 「●●の場所は品川のどの辺ですか? 道に迷っていて……」「あ、△△のあたりですよ」的な質問まで否定するわけではありません、もちろん(常識的に考えれば分かることだと思いますが、このような例を出されて論点をずらされることもありますので、念のため)。

 また、すごーく悩んでいた問題を丸投げで質問、回答を得ることで、短期的なモチベーションを高められることがあることも否定するつもりはありません。

 要は「インターネットのQ&Aサイトに」「未成年が」「(数学・英語を中心に)課題と推測される問題を投稿し、回答を寄せられることを期待すること」について、「(メリット・デメリットを考慮して)別にいいじゃん、と思っていますか?」ということです。

 私は断固禁止という姿勢です。

 未成年に対して教育する立場の人間が与える課題は、答えを得ることが狙いではなく、答えを求めるまでに試行錯誤し、さまざまな思考力を高めることが大きな目的であることの方が圧倒的に多いです。答えではなく、答えを得るまでのプロセスが大切。あえて「こんなこと常識でしょ」と断言します。

 めまぐるしく変化するこれからの次代を、たくましく幸せに生きるためには、思考力の涵養(かんよう)が間違いなく大切です。そして、そう思うのであれば、子どもたちに「丸投げ質問は断固禁止」という強い姿勢を見せるべきです。

 先日、電通総研が教育熱心なパパ・ママの意識調査の結果(参照リンク)を発表しました。さまざまな力の中で「思考力」を重視する人が最も多いこと、そして教育熱心な方ほどその傾向が高いことがハッキリ数字にも出ています。この結果を元にして申し上げます。

 「丸投げ質問は断固禁止」

 2005年に開発された、ケータイで質疑応答ができるZ会高校コースのQ&Aサイト「めるみぃ」の運営に私も携わっていました。

 ある時、まさに「丸投げ質問」が届きました。Z会の利用者は(若くても)毅然とした姿勢を見せる方が少なくないので、「こんな質問しちゃいけないよ」「ラクしようとだけ思うんじゃない!」という回答が寄せられました。

 そして挙句の果て、質問者は「学校の宿題でどうしてもできない」と断り書きを入れていましたが、それは嘘で、とある教育企業が主催する全国模試の問題であることが数時間後に発覚しました(ユーザーから指摘があったのです)※。

※ちなみにその時、私は質問をオープンにし、「管理者から回答」として「このような質問は禁止しています」と断りを申し上げました。

 全国模試といっても地域の都合で、日程が前後する場合があります。また、教育企業主催の全国模試の結果を評定平均に組み込む学校もあります。つまり、Q&Aサイトの丸投げ質問に回答が付くことで、学校の成績を上げ、推薦入試などを有利にすることが可能なのです(理屈上は)。

 これらの事実を元にして申し上げます。

「丸投げ質問は断固禁止」

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