「ストレステスト」への不安から信用収縮の動きが強まり軟調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月10日 08時45分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10589.50△64.31

<TOPIX>944.29△5.13

<NYダウ>12213.09▼1.29

<NASDAQ>2751.72▼14.05

<NY為替>82.74△0.09

欧州金融不安、「ストレステスト」への不安から信用収縮の動きが強まり軟調な展開

 中東情勢が引き続き気になるということもあって欧州では「ストレステスト」が強化されるのではないかとの懸念もあって、金融不安が再燃、インフレ懸念からの金利上昇もあり信用収縮的な動きも見られ、総じて軟調となりました。原油価格は米国での需給緩和観測から軟調となり、ロンドン市場で銅などが売られ、米国での穀物相場も下落となるなど、インフレ懸念と言うよりは信用収縮的な動きがあり、株式市場も売りが優勢となりました。主力銘柄に目標株価の引き上げが相次ぎ、指数を下支える格好となり、ダウ平均は小幅安に止まりましたが、ナスダック指数は軟調となり全体としては冴えない印象でした。

 原油価格が高騰したといっては売られ、原油価格が軟調となり商品相場が軟調となったことでも売られるという矛盾した展開となりましたが、投機的な資金の動きに振らされているということだと思います。中東情勢が云々、欧州金融不安がどうしたと言いつつも、世界的な景気回復、米国の景気回復を織り込む流れには変わりなく、目先的な資金の動きで買われ過ぎれば売られ、売られ過ぎれば買われると言う展開が続いているのだと思います。

 個別には投資判断の引き上げが相次いだIBMが堅調、上場来高値更新となり、前日の引け後に発表した1株利益予想レンジの中心値が市場予想に届かなかったテキサス・インスツルメンツ(TI)が大幅安となりました。それでもインテルは買戻しもあって堅調となりハイテク銘柄はまちまちとなっていました。商品相場の下落や前日の大幅高の反動もあってキャタピラーやアルコアなど景気敏感株に軟調なものが見られ、モンサントは大幅安となりました。金先物価格は堅調でしたが原油や他の商品相場が軟調と言うこともありエクソン・モービルなどの石油株、パブリック・ゴールドなどの金鉱株も軒並み冴えない展開となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や原油価格の下落を好感して買い先行となり、一時大幅高となるなど堅調となりました。リビアでの戦闘が激化していることや週末の先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を控えて積極的に買い上がる動きも少なく上値も限られ、上値の重さが確認されると手仕舞い売りを急ぐ動きから指数も上げ幅減少となりました。それでも為替も落ち着き、外国人も買い越し基調となっており、堅調となりました。

 米国市場が冴えない展開となったことやまたぞろ欧州金融不安が頭をもたげてきたことから、持高調整の売りがかさむ可能性もありそうです。先物・オプションSQ(特別清算指数)算出を控えて積極的に売り買いの持高を増やすというよりは手仕舞えるものは手仕舞っておこうという動きになりそうです。ここまで買われていたものが売られ、売られていたものが買い戻されるような動きも見られるかもしれません。信用収縮的なリスク回避=手仕舞いの動きも見られ、荷もたれ感が強い銘柄などは冴えない展開となりそうです。

 引き続き日経平均は「レンジ」の中での動きとなりそうです。10500円〜600円水準での底堅さを確認する動きが続きそうです。先物・オプションのSQを前に先月から始まった「J−GATE」の影響なども気になるところで、目先的には先物主導で指数が振らされる場面もあるのかもしれません。目先的には過熱感が強いわけでもないのですが、懸念要因が多く、上値は重そうです。

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