楽観的な銀行収益見通しもあってダウ平均は大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月09日 08時51分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10525.19△20.17

<TOPIX>939.16▼2.47

<NYダウ>12214.38△124.35

<NASDAQ>2765.77△20.14

<NY為替>82.65△0.41

原油供給不安が薄らぎ、楽観的な銀行収益見通しもあってダウ平均は大幅高

 朝方はOPEC(石油輸出国機構)の原油増産の話題はあったもののリスク回避の動きやリビア問題を懸念する動きも根強く、軟調となる場面もありました。ただ、手仕舞い売り一巡後は原油価格の下落を好感する動きや世界景気の拡大期待から景気敏感銘柄を中心に買われ大幅高となりました。ナスダック指数は最後は目先筋の利益確定売りに押されて上げ幅縮小となりましたが、銀行収益に対する楽観的な見通しも報じられ、総じて堅調な展開となりました。

 原油価格の下落を好感したというよりは原油の供給不安が薄れたことが大きかったのだと思います。リビア騒乱の広がりなどは懸念されるのですが、収束に向かうと伝えられる場面もあり、騒乱の長期化、拡大に対する懸念も薄れたことで、リスク回避の動きも一段落となったものと思います。中東への騒乱の拡がりなどもまだまだ懸念されるのですが、あまり過剰に反応することもないと思います。世界的なインフレ懸念はくすぶっているのですが、経済の拡大は継続していると見てもいいと思います。

 個別にはCEO(最高経営責任者)が楽観的な収益見通しと配当増に言及したことでバンク・オブ・アメリカが大幅高、連れてアメリカン・エキスプレスも大幅高、JPモルガン・チェースやシティグループなども堅調となるなど金融株が軒並み堅調、中国からの受注を好感してボーイングが高く、キャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株が買われました。フォード・モーターが大幅高、ホーム・デポやウォルマートなども堅調と個人消費関連も高いものが目立ちました。インテルは軟調となったもののIBMなどハイテク銘柄も高いものが多く見られ、シェブロンは堅調となったもののエクソン・モービルやニューモント・マイニングなど資源株は軟調なものが見られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安の割りに堅調となりました。時間外取引で原油価格の上昇が一服となったことや前日の大幅安の反動から買い先行となり、値がさ銘柄の一角が高く、指数を押し上げる格好で日経平均は堅調となりました。銀行株などが軟調となったこともあり、TOPIXは軟調となるなど総じて見ると冴えない展開となりました。物色対象も絞り切れず、相変わらず持高調整の売り買いが中心となっていたものと思います。

 米国市場が堅調、大幅高となったことから、日本市場も買い先行となりそうです。ただ、寄り付き前に発表される機械受注の数字が予想(+3.0%)を大きく下回るようであれば底堅さは見られるものの軟調となるのでしょう。リビアの騒乱は続いているものの原油の供給不安が薄れたことで、過剰に反応して売られた銘柄の反発は期待できそうですが昨日の底堅さである程度織り込まれており上値も重そうです。また、目先の需給を見ると日経平均の銘柄入れ替えや先物・オプションのSQ(特別清算指数)に絡んでの持高調整なども続くものと思われ、積極的に買い上がるというよりは波乱含みの展開が続くのだと思います。

 相変わらず10500円〜600円水準での底値固めとなったことで今度は上値の節目10800円〜900円水準を目指す展開となると思います。為替も落ち着いており、まずは足元の今期業績の上振れが期待される銘柄で売られすぎたハイテク銘柄の一角や商社株などが買い直されることになり、指数を押し上げるのでしょう。機械受注が予想を上回るようであればFA(ファクトリーオートメーション)関連なども買われるのではないかと思います。

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