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» 2011年03月09日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:高級チョコとコンビニが組んだ――ゴディバ&セブン-イレブンの戦略 (1/2)

コンビニエンスストアの棚の一角が、また華やぐ季節になってきた。ホワイトデーコーナーである。そこに鎮座しているのは、ベルギー生まれの高級チョコレート「ゴディバ」だ。バレンタイン商戦に引き続き参戦している。その狙いを考察してみよう。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年3月4日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 コンビニエンスストアの棚の一角が、また華やぐ季節になってきた。ホワイトデーコーナーである。そこに鎮座しているのは、ベルギー生まれの高級チョコレート「ゴディバ」だ。バレンタイン商戦に引き続きの参戦である。

 コンビニの棚は、日々各メーカーが壮絶な場所取り合戦を繰り広げている。どんなに良い商品を作っても、最終的に消費者が手に取らなければ売れないからだ。そんな店内の棚の中でもホワイトデー商品が置かれているのは特別な場所だ。商品棚の両端で来店客の目をひきやすい、「エンド」と呼ばれる商品陳列コーナーである。販売重点目標となったキャンペーン商品や、クリスマスや年賀用贈答品、シーズン商品などが並べられる。

 エンドの棚にバレンタイン商戦から並べられている「ゴディバ」。日本での販売の歴史は意外に古く、1972年に日本橋三越に第1号店がオープンしている。以来店舗を徐々に増やし、現在では200店舗以上を展開している(Wikipediaより)。

 ゴディバは日本には非常に力を入れている。北米に続く第2の市場で、「現在の日本の売上高(小売ベース)は200億円弱とみられ、世界全体の売上高の25%を占める」(2006年9月21日付日経産業新聞)。

 コンビニエンスストア、セブン-イレブンとの組み合わせは異色に見えるが、実は両者の思惑はうまくかみ合っている。

 チョコレート以前にセブン-イレブンが取り扱いを始めたゴディバ商品がある。アイスクリームである。カップアイス420円、アイスクリームトリュフ399円。コンビニ限定商品ではない。ゴディバの店舗やオンラインショップでも販売している商品だ。

 コンビニで400円前後のアイスが売れるのか? ……売れているのだ。もちろん取り扱いや売れ行きは店舗によって差はあるが、いくつかの店を見て回ったが売れているようだ。

 セブン-イレブンが高級アイスを展開するのはゴディバが初めてではない。「銀座千疋屋・銀座プレミアムアイス」とちおとめ&マスカット(各420円)。創業1834年の日本橋室町の千疋屋総本店から1894年にのれん分けをして以来の歴史を持つ、老舗高級果実店のアイスクリームだ。

 コンビニエンスストアの店舗は狭い。便利な・Convenientな店であるため、多品目を並べるためどうしても1品目あたりのスペースは限られる。また、好立地を確保しようとするため地代家賃は高くなる。故に、売上げ坪単価を高めようと「売れる範囲での高額品」は是非とも並べたいと考える。

 一方、「買う側」に目を移してみると、「コンビニスイーツ」に「払ってもいい」と考える金額(カスタマーバリュー)は7割強が300円を上限と考えている。(ORIMOモバイルリサーチ調べ

 上限300円の壁を突破し、プラス100円以上の価格を払ってもらおうと思った時、必要となるのは「ブランド」だ。それが「銀座千疋屋」であり、「ゴディバ」なのだ。

 では、ゴディバにはどのようなメリットがあるのか。

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