やりすぎた“チャリティー消費”には毒が出る「半農半X」 ビジネスコンサルタントと、農業と……(1/3 ページ)

» 2011年03月07日 08時00分 公開
[荒木亨二,Business Media 誠]
誠ブログ

 日本人の風潮として、「一気に盛り上がり、急速に冷めるコト」が多い。食べるラー油が品切れ続出、タイガーマスクが突然現れて世間をにぎわせ、なぜか皇居を走ることが聖地化され……。いろいろとやりすぎはよくないのだが、ここ数年気になっているのが日本のやりすぎた販売戦略、名付けて“チャリティー消費”である。

日テレの愛は地球を救っているのか?

 私が昔から嫌悪感を覚える番組がある。日テレのチャリティー番組である。毎年夏の終わり、黄色いTシャツで突然「愛は地球を救う」と大勢のタレントが集まり、なぜかマラソンをし、感動的なドラマを流し、ひたすら1日中愛を訴える。

 かなりの長寿番組となっているはずだ。物心ついたころから、我が家ではこの番組を見ることが長い慣習となっていたが、幼いながらにいつも疑問に思っていた。「なぜ1日だけ助け合うの?」と。

 高校生くらいになり、テレビのチャンネル権を持つようになるとまったく見なくなり、それどころか嫌悪感を抱くようになった。夏の終わりになると登場するコンビニの黄色い箱を眺めるたびに、何だか白々しい空虚感を感じるのは私だけなのだろうか……。

 完全なる企業PRである。普段、悪態をついている芸人が涙目になっては“素”の自分をみせる。コンビニやスーパーは集客を期待する。スポンサーは社会貢献をしたつもりになり、それを見て感動する消費者は一瞬、ココロが優しくなれる……。

 「チャリティー=善行」という盲目的な価値観に支配される夏の終わり、なかなか悪いコトができなくなる雰囲気となる。やりすぎた1日である……。

野菜が似合わないタイガーマスク

 2010年末、タイガーマスクが久々に現れた。リアル・タイガーマスクである。匿名で児童養護施設にランドセルを届けたことがきっかけで大ブームとなり、その後全国各地に同じような善行をする人々が現れた。メディアが積極的に報道したこともあり、人々の関心が一斉にチャリティーに向いた。

 「タイガーマスク運動」と名付けられ、識者は「こうした活動が広まるとうれしいですね」などとほほえむ。「ブームは終わるものですよ」とは、誰も突っ込みを入れない、入れられない。なぜなら「チャリティー=善行」であり、表立って茶々を入れられない風潮が支配しているからだ。

 児童養護施設にとってはうれしい半面、恐らくこの異常事態を冷静に見ているのではなかろうか? これらの施設は遠い昔から不運な子どもたちを引き受けて育てており、長い間、社会的な役割を担ってきた。突然に作られた施設ではない。

 できれば欲しいモノを寄付した方が良い。それが本当の助けになる。朝起きたら大量の野菜が並んでいても、それは迷惑なだけでは? 本当に想うのであれば、施設にいる子どもの数を聞き、欲しいもの・サービスを聞き、つまりはニーズを確認した上でタイガーマスクとなるべきところだろう。やりすぎた年末年始である……。

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